【2025パ・リーグ回顧】ソフトバンクがリーグ連覇、日本ハムは熾烈な首位争いで2年連続2位に
ソフトバンクはリーグ連覇を飾ったが、春先は苦しんだ。4月終了時点で9勝15敗2分と負け越して最下位に。栗原陵矢、近藤健介、柳田悠岐、今宮健太と故障者が続出するアクシデントに見舞われたが、柳町達、野村勇、川瀬晃と昨年まで一軍に定着できなかった選手たちの活躍で上昇気流に乗った。柳町が最高出塁率、牧原大成が首位打者、周東佑京が盗塁王を獲得。投手陣では2年連続最多勝に輝いた有原航平、最優秀防御率を受賞したモイネロの左右のエースを筆頭に、大関友久、上沢直之と4人の2ケタ勝利投手が誕生した。藤井皓哉、最優秀中継ぎ投手の松本裕樹、最多セーブの杉山一樹と「勝利の方程式」も抜群の安定感で稼働。巨人にFA移籍した甲斐拓也の穴が懸念されたが、海野隆司、嶺井博希が見事にカバーして、5月以降は貯金41を積み重ねて頂点に。日本シリーズでも阪神を4勝1敗で撃破し、5年ぶりの日本一に輝いた。
日本ハムはソフトバンクと熾烈な首位争いを繰り広げたが、あと一歩届かなかった。先発投手を万全のコンディションで投げさせるため、10日以上の登板間隔を空ける画期的な起用法で、12球団トップの23完投を記録。チーム内のハイレベルな競争の中で、プロ4年目の達孝太が8勝2敗とブレークした。エースの伊藤大海はこの起用法の枠組みから外れてシーズンを通じて稼働し、リーグ最多の196回2/3を投げて最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得。沢村賞も受賞した。打線はレイエスが32本塁打、90打点で2冠王に。清宮幸太郎は最多安打にあと1本届かなかったが、得点圏打率.330と勝負強さを発揮。捕手、一塁、三塁、左翼、中堅を守り、111試合出場で打率.297をマークした郡司裕也の貢献度も高い。2年連続2位の悔しさを晴らすべく、新庄剛志監督就任5年目の来年こそ「打倒・ソフトバンク」を果たせるか。
3位のオリックスは開幕15試合で11勝3敗1分とスタートダッシュに成功。7月に貯金を最多の12まで増やしたが、その後は上位の2球団に突き放される形に。ソフトバンクに直接対決で7勝16敗2分と大きく負け越したことが痛手だった。広島からFA移籍した九里亜蓮がチームトップの11勝をマークし、中川圭太、太田椋、紅林弘太郎、杉本裕太郎が打線の核となったが、投手陣が安定感を欠いた。2021年からリーグ3連覇を支えたリリーバーたちが故障や不調で思い描いた活躍ができず、継投策に苦労した。その中で才木海翔、川瀬堅斗、片山楽生などイキのいい若手が台頭してきたのは明るい材料だ。中日からシーズン途中に金銭トレードで獲得した岩嵜翔も37試合登板で16ホールド、防御率2.12と活躍ぶりが光った。
楽天は5月以降に借金生活から抜け出せず、4年連続4位に。ドラフト1位ルーキーの宗山塁は遊撃で122試合出場して打率.260、3本塁打、27打点、7盗塁をマーク。攻守で試行錯誤したが、1度もファーム降格せずに一軍で完走した。その宗山に遊撃の定位置を明け渡す形となった村林一輝は主に三塁を守り、最多安打のタイトルを獲得。黒川史陽は6月に一軍昇格するとクリーンアップを託され83試合出場で打率.299をマークした。中島大輔も外野の定位置をつかんで自己最多の22盗塁をマーク。若手野手の活躍が光る一方で、投手陣は課題を残した。先発陣の防御率3.72はリーグワースト。エースの早川隆久が2勝8敗と誤算で、2ケタ勝利を挙げた投手はゼロだった。古謝樹、荘司康誠、内星龍など潜在能力の高い投手が一本立ちしてほしい。
昨年球団史上ワーストの91敗を喫した西武は、西口文也監督が就任。6月中旬に貯金7まで伸ばしてパ・リーグの台風の目となったが、夏場以降に失速して借金14の5位に終わった。まだまだ発展途上だが、チーム力は上がっている。来日1年目のネビンは打率.277、21本塁打をマーク。西川愛也が自身初のゴールデン・グラブ賞を受賞し、ドラフト2位で入団した渡部聖弥は12本塁打で規定打席に到達した。滝澤夏央も二遊間の守備力は球界トップクラスで未来が明るい。投手陣では平良海馬が最多セーブのタイトルを獲得。先発ローテーションで長年引っ張ってきた今井達也、髙橋光成のメジャー挑戦が決まり、来年は先発に配置転換される。隅田知一郎、武内夏暉、渡邉勇太朗とともに2ケタ勝利がノルマとなる。平良の後継者となる抑えの活躍もチームの命運を握ることになりそうだ。
最下位に低迷したロッテはパ・リーグの全球団に対戦カードで負け越し、借金28と苦しんだ。若返りの時期を迎えている中で、収穫もあった。高卒2年目の寺地隆成がチーム最多の先発マスクをかぶるなど、116試合出場で打率.256、5本塁打をマーク。ドラフト1位で入団した西川史礁は5月下旬までに2度のファーム降格を味わったが、6月に一軍昇格すると安打を積み重ねて打率.281で規定打席に到達した。藤原恭大もシーズンを完走して打率.271、15盗塁とリードオフマンとして手ごたえをつかむシーズンに。投手陣では中森俊介、木村優人、田中晴也など若手が台頭した。巻き返しに向けて、活躍してもらわなければ困る左右の両輪が、小島和哉と種市篤暉だ。種市は8月以降に9試合登板で6勝1敗、防御率1.34。シーズンを通じて安定感を持続すれば球界のエースになれる。
【文責:週刊ベースボール】



