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【コラム】「WBC2006回顧」第1回大会は「誰も想像できないシナリオ」で世界一に

 今から20年前。「野球の世界一を決める大会」として2006年に第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催され、日本、アメリカ、キューバ、韓国など16チームが参加した。

 指揮をふるったのは王貞治監督。当時ソフトバンクの監督を兼務していた。心身共に大きな重圧が掛かったことは想像に難くないが、大役を引き受けた。メジャー・リーグでプレーしている選手はシーズンに向けての調整のため出場が叶わないケースが目立ったが、日本代表はイチロー、大塚晶則の2人が日本人メジャー・リーガーで参加。NPBから松坂大輔(西武)、上原浩治(巨人)、松中信彦(ソフトバンク)、青木宣親(ヤクルト)ら実力者たちも名を連ねた。

 この大会で強力なライバルとして立ちはだかったのが、韓国だった。第1ラウンドで中国に18対2、チャイニーズ・タイペイに14対3と圧勝して第2ラウンド進出を進めたが、最終戦の韓国戦は2対3で逆転負けを喫した。

 アメリカ・アナハイムで行われた第2ラウンド。初戦・アメリカ戦で予期せぬ事態が起きる。3対3の同点で迎えた8回表。一死満塁から岩村明憲(ヤクルト)が左翼へ浅いフライを放ち、三塁走者の西岡剛(ロッテ)が勝ち越しのホームを踏んだ。遊撃手のデレク・ジーターが三塁の離塁が早いとアピールしたが、二塁塁審はセーフの判定に。だが、アメリカのバック・マルティネス監督がボブ・デービッドン球審に抗議すると、判定がアウトに覆った。まさかの出来事に日本のベンチは呆然とする。王監督が猛抗議をするも認められず、試合の流れが変わった。同点の9回二死満塁で、藤川球児(阪神)がアレックス・ロドリゲスに内野安打を打たれてサヨナラ負けを喫した。

 2戦目のメキシコ戦は6対1で勝利したが、3戦目の韓国戦に1対2で敗戦。韓国は喜びを爆発させ、一部の選手たちがマウンド上に韓国国旗を掲げる行動が波紋を呼んだ。痛恨の敗戦により第2ラウンドで敗退の可能性が高くなったが、翌日にメキシコがアメリカに勝利したため、日本、米国、メキシコが1勝2敗で並ぶ形に。日本は3チームの中で失点率が最も低かったため2位となり、決勝トーナメントに進出した。

 WBCは第1回大会で認知度がまだ高くなかったため、1次ラウンド開催中は日本のファンの関心度が高いと言えなかったが、首の皮1枚つながった「アナハイムの奇跡」で一気に熱量が上がった。準決勝の相手は3度目の対戦となった韓国。2連敗していたため、絶対に負けられなかった。手に汗握る投手戦となった展開で、0対0の7回表に試合が動く。先頭打者の松中が二塁打を放つと、この試合まで打率.105と打撃不振だった福留孝介(中日)が代打で起用された。右翼席に値千金の2ランで王監督の采配に応えると、打線がその後もつながり、一挙5点を先制。8回も多村仁(横浜)のソロで突き放した。先発の上原が7回3安打無失点の好投で6対0と快勝。「3度目の正直」で見事にリベンジを果たした。

 決勝のキューバ戦は、初回に満塁から押し出し四死球を2つ選ぶなど4点を先制して試合の主導権を握った。5回にも2点を奪った日本が有利に試合を進めたが、キューバの強力打線が襲い掛かり、6対5と1点差まで追い上げられた。試合の流れが相手に傾きかけた中、川﨑宗則(ソフトバンク)の好走塁が試合のターニングポイントになった。9回一死一、二塁の好機にイチローの右前打で二塁から一気に本塁へ。右翼手からの好返球でタイミングはアウトだったが、捕手のタッチをかいくぐり、右手でホームベースを触った。「神の右手」と話題になった見事な走塁で貴重な追加点をもぎ取った。この回に4点を奪い、10対6でキューバを下して初代王者に。3勝0敗、防御率1.38と圧巻の投球を見せた松坂がMVPを受賞した。

 王監督は「『君たちは最高だ』と声をかけました。頑張ればこんな大会に出られるんだということは、若い選手たちにとっても励みになったと思います」と大会後に語っている。勝負への執念を持ち続け、苦難の末につかみとった世界一だった。

【文責:週刊ベースボール】