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【記録員コラム】ファーム球場物語・スピンオフ ~サーパス編~

 NPB公式サイトの球場情報で球跡巡りを執筆している山本勉記録員が先日からスタートしたファーム球場物語。これに便乗する形になりますが、記録員コラムでもファームに関する話をご紹介したいと思います。

 オリックスのファーム(2000~2005 サーパス神戸、2006~2008 サーパス)が2000年から2016年まで計448試合を行った北神戸田園スポーツ公園野球場(公募の愛称「あじさいスタジアム北神戸」)。夏場の公式戦では5回終了時(薄暮時間開始の時は7回終了時)などに打ち上げ花火が実施されることもありました。通常は満員で2500人ほどの入場者でしたが、けがで約1年8カ月ぶりの試合出場となる清原和博選手の復帰初戦となった2008年5月3日対阪神6回戦では、普段は開放しない外野エリアも開放されて球場最多記録となる5621人の観衆を集めました。その北神戸球場での記録的にレアな出来事として、私が記録員を担当した試合をご紹介したいと思います。

あと一人で逃した完全試合(&ノーヒットノーラン&完封勝利&完投勝利)

近藤一樹投手
2007年5月2日 サーパス対広島5回戦(北神戸)
試合結果

 試合はサーパスが3回にC.アレンの中前安打で先制、7回には暴投と牧田勝吾の右前安打、さらに相川良太の左中間2点本塁打で5-0とし、試合の焦点は近藤投手の完全試合達成になりました。8回まで93球11奪三振で迎えた9回、先頭の山本芳彦を一飛。次打者の鞘師智也の打球は三遊間へのゴロ。

 北神戸は記録席が三塁寄りに振られていて、三遊間を斜め横寄りから見る位置になっていました。近藤投手が7回を抑えた後のイニング間に「三遊間の微妙な打球はイヤだな」と思ったりしていたのですが、この三遊間への打球はまさにそんな打球でした。当たりこそ強くはないものの打球のコースが良く、また鞘師選手は右打者とはいえ足の速い選手なので、打球を見た瞬間に緊張感が走りました。
 ここで、それまで4つの遊ゴロを無難に処理していた長田昌浩遊撃手が、捕球から送球まで全く無駄のないプレーでタイミング際どくも一塁はアウトに。(私の記憶では)見た目は普通でもファインプレーに映りました。

 あと一人になり、このプレーを見ていよいよ完全試合達成かなと思ったところ、2打数2三振の9番・上村和裕に代わって27人目の打者として代打・會澤翼が起用されました。ここで高卒ルーキーを使うのか(公式戦初打席だったのは後で知りました)、近藤投手は追い込みさえすれば変化球で打ち取れるだろうなと感じました。逆にここで打てば會澤選手は「持ってる選手」だろうとも。
 2ボール先行から空振りとファウルで2-2と追い込んだ5球目。ストレートがすっぽ抜けたのか投球が頭部を直撃。打席で倒れたまま動けなかった會澤選手はグラウンドまで入ってきた救急車で緊急搬送されました(※中断12分)。
 この投球で近藤投手は危険球退場となり、その後はリリーフの山口和男が中東直己を二ゴロに打ち取り、チームとして継投でのノーヒットノーランを達成しました。

 ウエスタン・リーグで、あと一人で完全試合を逃したのはダイエー・内山智之投手が1996年4月5日対阪神1回戦(鳴尾浜)で27人目の打者、代打・岩田徹に右前安打を打たれて逃した試合があります。内山投手は続く平尾博司を三ゴロに打ち取り被安打1の完封勝利を挙げていますが、頭部への死球で危険球退場になってしまった近藤投手は完投すらならず先発勝利投手ということになりました。ただ近藤投手自身は試合後に「ここでツキを使わなくてよかった」という感じのコメントをしていたようなので、一軍で投げてこそと思っていたのかもしれません。

 それとこの試合はもう一つ、滅多に起こらない出来事がありました。

 2回裏先頭打者の吉良俊則に対し、広島先発の前田健太が0-2からボール3球続けたところで球審が四球宣告。私自身のスコアは3ボールだったので急いで隣りの部屋の球団スコアラーに確認を取った後に球審に伝えようとしましたが間に合わず試合が進行してしまいました。後に聞いたところでは球審も捕手も気が付いていなかったようでしたが、記録員としては自信を持ってすぐに助言するべきでした。言わばこの試合で記録員はカウント間違いを指摘出来なかったという〝失点”をしていたのです(自戒を込めて記しておきます)。

 以上、まだ現在のようにネットでの中継もない中、この試合を観戦した数百名(観衆発表無し)の方々との記憶の齟齬が若干あるのかもしれませんが、スコアで振り返りながら私の記憶から書き起こしてみました。

【NPB公式記録員 藤原宏之】

※會澤選手は一軍公式戦の2012年8月2日DeNA対広島15回戦(横浜)9回表の打席(代打)でも、山口俊投手の投球を頭部に受けて、直接グラウンドから救急車で搬送されている(中断12分)。