【コラム】首位に立つ西武の戦いに安定感をもたらす岩城颯空、真っすぐの“ギャップ”が武器の新人クローザー
5月に入り、11勝3敗と快進撃を見せている西武。17日の日本ハム戦(エスコンF)で勝利を収め、4年ぶりの首位に立った。原動力は打線だ。この試合では1対2の7回に代打・岸潤一郎が逆転2ランを放つと、四番のタイラー・ネビンも2ラン。一気に形勢を逆転した。昨年までの3年間はチーム得点がリーグ最低と貧打に泣き、5位、6位、5位と低迷したが、課題の打線が生まれ変わった。5月の14試合で73得点。1試合平均5.21得点をマークと猛打ぶりを発揮している。
ただ、強さの要因は打撃だけではない。戦いに安定感をもたらしているのはクローザーの存在だ。開幕からドラフト2位ルーキー・岩城颯空がその座に就き、試合を締める役割を担っている。17日の試合では3点リードの9回に登板。一死から四球を許したが、続く代打・郡司裕也、水野達稀を連続空振り三振と危なげない投球を見せた。先週は被安打ゼロと完ぺきな投球で3セーブ。通算ではリーグトップの13セーブと新人離れした活躍を見せた。だが、「自分のことより、チームが1位のほうがうれしい」と岩城はフォア・ザ・チームに徹している。
大役を任されることを告げられたのは、開幕直前の練習時だ。投手陣が集まった際に西口文也監督が「9回は岩城」と明言した。「予感みたいなもの?いや、なかったです(笑)。『勝ちパターンに入りたいな』くらいに思っていたので、とても驚きました」。岩城の投球スタイルは真っすぐで打者のバットを押し込み、空振りやファウルを奪い、カウントを整えて抑え込む形だ。オープン戦で自らのスタイルを貫き、6試合で防御率0.00と結果を残してアピールしたが、真っすぐで武器にしているのは“ギャップ”だという。
「大学時代から『腕の振りの割には真っすぐがきている』と言われることが多かったんですよね。僕は思い切り腕を振っているつもりだったんですが、よく『本気で投げているのか?』と言われて(苦笑)。だから自分で意識しているわけではないです。プロでも苦しいマウンドはありましたが、困ったら真っすぐを投げて打ち取ることができました。“ギャップ”があるから打者はタイミングが取りづらいと思いますし、その部分はなくさずにやっていきたいです」
背番号は「20」だが、ライオンズで同背番号と言えば豊田清投手チーフコーチが現役時代に着け、クローザーとしてマウンドに立っていた。2002、03年には38セーブを挙げてタイトルを獲得するなど通算157セーブをマーク。球界を代表するクローザーだったが、岩城もそのピッチングを動画で目にしたことがあるという。
「見ました。めちゃくちゃ見ました。立ち居振る舞いが素晴らしいです。それに、すごく“強メンタル”だと思いましたし、感情の出し方に目が釘付けになりました。やっぱり、気持ちが乗れば、ピッチングも乗っていくと思いますから」
当時の東尾修監督は先発だった豊田投手をクローザーに抜てきした理由として「1球にかける思いが強い」ことを挙げていたが、岩城も「僕もそのつもりです」と言葉に力を込める。「初球から勝負なので。常に全力で、マックスで投げるように心掛けています」。ルーキー左腕が熱い気持ちでチームを勝利に導いていく。
【文責:週刊ベースボール】