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【記録員コラム】実は激レア!?日本シリーズの「あの」プレイ

 先日行われたSMBC日本シリーズ2025は福岡ソフトバンクホークスの優勝で幕を閉じました。第2戦で周東佑京選手が1試合5安打の日本シリーズ新記録を達成すると、第2戦から第4戦にかけては山川穂高選手が日本シリーズ史上6度目となる3試合連続本塁打を達成。その他にも数々の記録が生まれました。(主な記録はこちらからご覧いただけます)

SMBC日本シリーズ2025 主な記録

 記録的にも非常に見どころのある今年のシリーズでしたが、これらの記録の陰に隠れて、なんと60年ぶりとなる「ある記録」が誕生していたことは知られていません。

 それは10月28日に行われた第3戦の6回裏、打者はヘルナンデス選手の場面です。モイネロ投手が投じた3球目は、力のない飛球となって一塁ファウルグラウンドに上がります。捕手の海野隆司選手と一塁手の山川選手が追いかけますが、マウンドから駆け下りてきたモイネロ投手が機敏な動きで見事に捕球。記録はピッチャーへのファウルフライとなりました。

「……えっ、そんなこと?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこのピッチャーファウルフライという記録は珍しく、2リーグ制となった1950年以降、一軍のレギュラーシーズンでは過去224度しか記録されていません。そのうちバント飛球によるものを除くと132度。これがどのくらい珍しいかというと、同じ1950年以降のサイクルヒットとノーヒットノーランの達成回数を足したものが156度ですから、純粋なピッチャーファウルフライを目撃できる確率はこれらの大記録よりも低い確率ということになります。当然、それだけ珍しければ日本シリーズで記録されることはより珍しく、過去75回の歴史の中で一例だけしかありませんでした。

 それは60年前の1965年に行われた第5戦の8回裏、巨人・柴田勲選手がセーフティバントを試みたものを南海・杉浦忠投手が捕球したもの。
 したがって、日本シリーズの舞台で打者がヒッティングした純粋なファウルフライを投手が捕球した例は今回のモイネロ投手が初ということになります。
 通常であれば、投手は飛球が上がれば他の守備者に捕球を任せるのが一般的なだけに、ファウルラインを飛び越えてまで捕球してしまうような投手はフィールディングに長けた投手と言えるでしょう。
 最も多く記録したのは中日・杉下茂投手。実に11度(うちバント飛球3度)ものピッチャーファウルフライを記録しています。鋭く落ちるフォークを武器に通算215勝を挙げ、「フォークの神様」として知られる杉下投手ですが、この記録からは「フィールディングの神様」でもあったことが伺えます。ゴールデングラブ賞の制定は1972年(当時はダイヤモンドグラブ賞)からですが、現役期間中にあったならば毎年のように名を連ねていたのではないかと想像します。

 一方で、フィールディングの良さが仇になってしまったのは西武・岡本篤志投手。2004年8月6日、近鉄-西武20回戦(大阪ドーム)の7回裏一死三塁でのこと。岡本投手が投じた2球目に対して近鉄・的山哲也選手はスクイズを敢行。打球は小飛球となってファウルグラウンドに上がり、これを岡本投手が捕球。あとは飛び出した三塁走者をアウトにすれば見事にピンチを切り抜けられるところでしたが、三塁へまさかの悪送球。三塁走者の生還を許してしまう結果となってしまいました。これは2025年終了時現在、ピッチャーファウルフライと得点が同時に記録された唯一の例です。

 ちなみに、プロ野球の長い歴史の中で「センターファウルフライ」は一度も記録されたことがありません。いつか記録されることがあるのでしょうか。

【NPB公式記録員 大塚雄太】

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