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【2025セ・リーグ回顧】阪神が圧倒的な強さで2年ぶりのリーグ優勝、巨人は投打で誤算が相次いで苦戦

 藤川球児監督が就任した阪神が圧倒的な強さでリーグ制覇を飾った。交流戦で7連敗を喫した時期があったが、リーグ戦再開後は6月下旬から11連勝を飾り独走状態に。安定した戦いの源は抜群の安定感を誇る投手陣だ。先発は最多勝に輝いた村上頌樹、最優秀防御率を獲得した才木浩人を筆頭にデュプランティエ、大竹耕太郎、伊藤将司、髙橋遥人、伊原陵人と質、量ともに12球団屈指の陣容で、救援も石井大智が日本記録の50試合連続無失点で防御率0.17、及川雅貴が66試合登板で防御率0.87マーク。守護神・岩崎優につなぐ勝利の方程式がブレなかった。打線も近本光司、中野拓夢の一、二番コンビが出塁して森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔の和製クリーンアップが返す得点パターンを確立。佐藤輝は40本塁打、102打点で2冠に輝き、大きく飛躍した。攻守の要として捕手の坂本誠志郎の存在も大きかった。充実した布陣で来年は球団史上初のリーグ連覇、日本一を狙う。

 昨年はレギュラーシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち抜く下克上で日本一に上り詰めたDeNAだったが、今年は投打がかみ合わず、エンジンがかかるのが遅かった。オースティンが度重なる故障で65試合出場にとどまり、牧秀悟も左手親指付け根の靱帯断裂で8月から2カ月以上離脱。それでもリーグ最多の510得点をたたき出したのはさすがだが、リーグワーストの救援防御率3.37とブルペン陣が不安定だった。抑えに抜擢された入江大生は常時150キロを超える直球を武器に自己最多の22セーブをマークしたが、7月以降は痛打を浴びるケースが目立った。一時は借金7までふくらみ、シーズン途中に藤浪晋太郎、ビシエド、フォードを緊急補強。9月に16勝6敗1分と大きく勝ち越して巨人との2位争いを制したが、優勝争いに絡めなかった。

 リーグ連覇を目指した巨人は不動の四番・岡本和真が、5月上旬に左肘靭帯損傷で3カ月以上、戦線離脱したことが大きな痛手だった。四番を固定できず、得点力不足が課題に。先発陣もエースの戸郷翔征が春先から痛打を浴びる登板が続くなど調子が上がらず、2度のファーム降格を経験。規定投球回に届かず、21試合登板で8勝9敗、防御率4.14と2ケタ勝利が3年連続でストップした。阪神に直接対決で8勝17敗と大きく負け越して力の差を見せつけられたが、明るい材料もある。泉口友汰が遊撃の定位置をつかみ、リーグ2位の打率.301をマーク。現役ドラフトで日本ハムから移籍した田中瑛斗も36ホールドの大活躍だった。最優秀中継ぎ賞に輝いた大勢、2年連続最多セーブを獲得したマルティネスにつなぐためにも、先発強化が来季に向けての大きなポイントになる。

 4位の中日は3年連続最下位から脱出したが、借金15は到底満足できる成績ではない。403得点はリーグワースト。得点力不足が依然として課題だが、上林誠知が復活して岡林勇希、細川成也、ボスラーとともに打線の核になった。石伊雄太、森駿太は1年目から頭角を現すなど個々の能力は他球団に引けを取らない。優勝争いに食い込むために、立て直しが急務なのが投手陣だろう。絶対的エースの髙橋宏斗が8勝10敗、防御率2.83。好不調の波が激しく、能力の高さを考えれば物足りない。大野雄大が11勝、松葉貴大が7勝とベテランの奮起が目立った一方で、20代の投手たちの伸び悩みが目立つ。ドラフト1位左腕・金丸夢斗は15試合登板で2勝にとどまったが打線の援護に恵まれない登板が多く、防御率2.61は合格点をつけられる。その他の若手も先発で台頭してほしい。

 広島は新井貴浩監督が就任1年目の2023年は2位だったが、昨年は借金2で4位、今年は借金20と下降線をたどっている。気がかりなのは失速すると、歯止めが利かないことだ。6月終了時点で貯金2だったが、7月に4勝16敗3分と大きく負け越し。9月も6勝16敗でCS争いにすら参戦できなかった。森下暢仁が6勝14敗、床田寛樹が9勝12敗、大瀬良大地が7勝9敗と先発3本柱が負け越すと苦しい。打線は小園海斗が打率.309で首位打者、最高出塁率のタイトルを獲得し、来日1年目のファビアンも打率.276、17本塁打をマーク。中村奨成がプロ8年目で自己最多の104試合出場で打率.282を記録した。ドラフト1位の佐々木泰も強打者の片鱗を見せている。攻守で精彩を欠いた坂倉将吾の復活、打撃で安定感を欠いた矢野雅哉、末包昇大の巻き返しに期待したい。

 ヤクルトは5年ぶりの最下位に低迷。村上宗隆が上半身のコンディション不良で春先から3カ月以上離脱し、長岡秀樹、サンタナも故障で戦列を離れ、得点力が一気に落ちた。投手陣は2ケタ勝利が2年連続ゼロ。左右の軸として期待される奥川恭伸が4勝8敗、防御率4.32、高橋奎二が3勝2敗、防御率2.36は寂しい数字だ。チームトップの8勝をマークした吉村貢司郎を含めて3人で計30勝以上をクリアしなければ、上位進出は望めない。救援陣は大西広樹、荘司宏太、矢崎拓也、星知弥が防御率1点台で、石山泰稚も42試合登板で防御率2.21と好成績を残している。先発陣を再建すれば結果が変わってくるだろう。チームが変革期を迎えている中、内山壮真、古賀優大、岩田幸宏と若手が台頭してきているのも好材料だ。池山隆寛新監督の下で来年は巻き返しを狙う。

【文責:週刊ベースボール】