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【セCSファーストS展望】DeNA打線対阪神投手陣 ハマスタでは阪神に分があるが……

 過去2度出場したクライマックスシリーズ(CS)で、いずれもファーストステージを勝ち上がり、ファイナルステージにコマを進めているDeNA。短期決戦で選手の能力を存分に発揮させ、勝利に導いてきたのがラミレス監督の決断力だ。過去には早いイニングから次々とリリーフをつぎ込む「マシンガン継投」など、レギュラーシーズンでは見られなかった采配で勝利を呼び込んだ。今回も指揮官のひらめきが冴え渡るか。

 横浜スタジアムでは初のCS開催となる。今季、DeNAは本拠地で43勝27敗1分と圧倒的な強さを誇っており、ホーム開催のアドバンテージを生かしたいところだが、阪神が相手だと話は変わってくる。シーズンを通して8勝16敗と大きく負け越し、横浜スタジアムでも4勝8敗と負け越した天敵だ。さらに6連勝を飾り、レギュラーシーズン最終戦でCS進出を決めた阪神の勢いも侮れない。

 攻撃ではケガの筒香嘉智が復帰予定で、打線はベストメンバーが組めそうだ。とはいえ、阪神で予想される先発の西勇輝はDeNA戦の防御率1.88、青柳晃洋は同2.05と打線は封じ込められている。強固なリリーフ陣がマウンドに上がる前に先発投手を打ち崩せるかがポイントとなりそうだが、一筋縄ではいかないだろう。本塁打が出やすい横浜スタジアムだけに長打が飛び交う乱打戦に持ち込めば、DeNAにも勝機が見えてくる。

 2敗すればシーズンが終わる状況であり、投手陣は好投手を出し惜しみせずにつぎ込んでいきたい。ラミレス監督は第1戦の先発に横浜スタジアムで3勝0敗、防御率1.98と相性の良い石田健大を指名。「石田には3イニング以上、投げてもらうのが理想。今永(昇太)はどこでも投げさせる」とエース・今永を中継ぎ、第2戦以降の先発と場面に関係なく「切り札」として配置させるスクランブル体勢を明言。他の先発陣は上茶谷大河、大貫晋一、バリオスが控える。ファームで調整中の井納翔一も二軍戦で先発し、まずまずの状態。試合展開次第では上茶谷がリリーフに回るオプションもありそうだ。

 一方、2年ぶりにCS進出を決めた阪神。シーズン残り6試合を全勝で3位争いを繰り広げていた広島を逆転して滑り込んだ。今季は投打がかみ合わず一時5位まで転落したが、徐々に打線が好調になるとチームに勝ちパターンが出来上がっていった。特に9月21日の広島戦(甲子園)が転機に。8回裏に北條史也が勝ち越し2ランを放ち4対2で勝利。ここからグッと投打がかみ合うようになり、その後3試合連続で投手陣が0点で抑える。打線も効率よくタイムリーが出るようになり、気がつけば6連勝でCS進出を果たした。

 その勢いのままに、横浜に乗り込む。第1戦の先発は西最有力で第2戦は今季急成長を遂げた青柳。西は8月後半から5連勝中。青柳も9月は負けなしの3連勝と好調だ。先発が早めに崩れた場合には、第2先発としてガルシアを投入する可能性が高い。実際に6連勝中には、先発の調子が悪いと見るとスパッとガルシアに切り替えるという采配を矢野燿大監督は見せた。さらに6回までリードを奪えば、7回以降は防御率1点台の岩崎優、ジョンソン、島本浩也、藤川球児という自慢のリリーフ陣が控えている。この4人を打ち込むのはDeNAの強力打線でも至難の業だ。

 打線では一番・近本光司がキーマンとなる。横浜スタジアムは打率.396、2本塁打。今永にも打率.333と相性がいい。盗塁王にも輝いた近本が塁に出て相手をかき回し、先制点を奪えば有利な展開に持っていける。実際にシーズン中は近本が出塁して盗塁を成功させればチームの雰囲気がガラリと変わり、後続の打者にも勢いがつく試合が多かった。

 3位からの下克上を成し遂げるためには、まず先制点を奪い、強力投手陣が守り抜くパターンをつくることが必要だ。8月以降、DeNA戦には6勝1敗と大きく勝ち越している。その6勝ではDeNA打線に2点以上を許していない。まさにこの戦い方を貫くことが、ファーストステージ突破への条件となる。

【文責=週刊ベースボール】

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