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NPBニュース

【記録員コラム】野球規則の原点を考える

 日本野球規則委員会より、2020年度の野球規則改正が発表されました。

 →2020年度 野球規則改正について

 日本野球規則委員会は毎シーズンオフにNPBの公式記録員や審判員も出席して開催され、野球規則について議論を重ねています。今でこそ、例えば今回の改正であれば「走者がフェアの打球に触れた場合」の解釈の変更といったように、細かな規則が議論の内容となりますが、当然ながら最初から現在のような成熟した野球規則が存在したわけではないはずです。今回のコラムではそのあたりを少し、私なりに紐解いていきます。

 私が初めて公認野球規則を読んだ時、妙に印象に残った規則があります。

5.06(b)(4)(A)【注1】

 フェアの打球がインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、観衆や鳥などに触れた場合には、本塁が与えられる。
 送球またはインフライトの打球が、鳥に触れた場合は、ボールインプレイでありインフライトの状態は続く。しかし、プレイングフィールド上(地上)の鳥または動物に触れた場合は、ボールインプレイであるが、インフライトの状態でなくなる。また、投球が鳥に触れた場合は、ボールデッドとしてカウントしない。犬などがフェアの打球、送球または投球をくわえたりした場合には、ボールデッドとして審判員の判断によって処置する。

 つまり、明らかにホームランと思われる打球が空を飛んでいる鳥に触れたためにグラウンドに落下したとしてもそれはホームランとするということや、普通の飛球であれば空中の鳥に触れても地面に触れる前に野手が捕球すればアウトとするが、地上の動物に触れて跳ねた打球を野手が捕球してもそれはアウトとしないということなどが書かれています。
 (※1988年、2004年に改正あり)

 おそらく、立派な野球場が整備されている現在のプロ野球においては、上記の規則が適用されるようなプレイはまず発生しないでしょう。ではなぜ、このような規則が書かれているのでしょうか。それは、野球の原点にあると私は考えます。

 アメリカで誕生したと言われているベースボールは、野球殿堂博物館によると、外国人教師として来日したホーレス・ウィルソンが明治5年に日本に伝え、明治27年に中馬庚がベースボールを「野球」と最初に訳したとされています。そう訳された理由は単純明快、ベースボールは原でを追うものだったからと考えられます。
 この原点から考えると、前述のような規則が必要となる理由も理解できます。野原で野球をすれば鳥や動物が紛れ込んでくることもあったはずで、その度にどう判定するか悩んでいては日が暮れてしまうので、ではきちんと議論して規則として定めよう、となったのではないでしょうか。

 野球規則改正の流れは、今も昔も変わっていないような気がします。実際に発生したプレイや状況を基に、野球をより良いものにするためにはどうすればいいか議論は尽きません。
 大リーグ(MLB)は2020年シーズンから、投手は最低3人の打者に投球するか、あるいは攻守交代になるまで投球することを義務化する新ルールの適用を発表しました。NPBでは今季からの導入は見送られることになりましたが、来季以降にどうするか、様々な意見が飛び交うことは想像に難くありません。
 導入すれば、左打者に対して左投手で勝負するといったいわゆる「ワンポイント」と呼ばれる駆け引きが見られなくなってしまう一方で、野球振興のためには試合時間の短縮に向けて策を打つことは重要なことでもあります。

 野球規則の改正とは少し異なりますが、2010年にNPB審判員がボールカウントのコール順をストライク、ボールから国際標準に合わせてボール、ストライクに変更しました。これに伴い各地の球場においてもスコアボードの表示順がSBOからBSOとなりました。最初は私もかなりの違和感がありましたが、今となっては違和感もなく、SBOのままになっているスコアボードのほうが珍しく感じられます。

 このように、変化は意外と時の流れと共に受け入れられるものだったりします。今後「ワンポイント禁止ルール」がNPBに導入されるかどうかは野球ファンの方々の中でも様々なご意見が飛び交うかと思いますが、野球規則は野原で球を追っていた頃からの野球人が議論に議論を重ねて作りあげてきたものですから、少しでもそういった視点で野球規則を見守っていただけたらと思います。

【NPB公式記録員 伊藤亮】