【コラム・交流戦見どころ】ソフトバンクの“4連覇”なるか 復活した松坂対古巣の実現も注目
昨年も56勝51敗1分けとパ・リーグが勝ち越した日本生命セ・パ交流戦。通算でも981勝872敗55分けとパに分がある。今年こそ、セ・リーグの奮起を期待したいところだ。
昨年、勝率1位のソフトバンク。12勝6敗は広島と同じ星勘定だったが、直接対決で2勝1敗と勝ち越していたため、3年連続で王者の座に就いた。今年は直近10試合で、2勝8敗で交流戦に突入。ケガ人続出で厳しい投手事情の中、頼りになるのは柳田悠岐のバットか。交流戦通算打率.338、2015、17年と2度のMVPに輝いた男が“4連覇”のカギを握る。
16年、17年とセでトップの成績を残し、2位との差を広げてリーグVにつなげた広島は今年もその再現を狙う。丸佳浩も交流戦での本格復帰を予定しており、好調な“野間峻祥レフト”のプランも可能に。これにより、DH制ありでも松山竜平、バティスタ、新井貴浩、エルドレッドから一塁手とDHを選べる形となり不安はない。好調な大瀬良大地、岡田明丈以外の先発陣が踏ん張れれば、ここ2年の再現も可能だ。
その広島といきなり対戦するのがパ首位の西武。シーズン序盤は強力打線を前面に独走態勢を築いたが、徐々にチーム状態が落ちて2位・日本ハムに1ゲームに迫られている。だが、交流戦で菊池雄星が復帰予定。エースが戻ってくれば、またチームの雰囲気も変わるだろう。パより狭いセの本拠地でふたたび強力打線に火がつく可能性も十分にある。
阪神は5連勝、日本ハムは3連勝とセパの2位チームは上り調子だ。打線が弱い阪神はメッセンジャー、秋山拓巳の二枚看板が安定感抜群で、この2人が投げたときにいかに白星をつかむかが重要になる。日本ハムは上沢直之、マルティネス、高梨裕稔ら先発陣がそろい、リリーフ陣も厚みがある。10本塁打を放つ大田泰示を二番に置く打線も破壊力が抜群だ。
セ3位のDeNAは2014年以来、4年ぶりの勝ち越しを狙う。一番・梶谷隆幸、二番・ソトの強力コンビが固定されたことで、三番・ロペス、四番・筒香嘉智、五番・宮﨑敏郎と上位は強力なラインアップとなった。DH制ありの試合では、おそらくソトが指名打者で起用されると予想されるが、重量打線がどうパ・リーグ投手を迎え撃つのか、注目だ。
昨年、4連敗で交流戦を迎え、結局連敗は球団ワーストの13まで延びた巨人。奇しくも今年も4連敗で交流戦へ。よもやここから再び3カード連続の3連敗とはならないだろうが、東京ドームに日本ハムを迎える交流戦開幕カードはその後を占う戦いとなりそうだ。
オリックスのカギを握るのは打線だ。チーム打率.230と開幕から元気がなく、好投する先発陣を援護できない試合も多々。その中でも、気を吐くのがプロ3年目の吉田正尚だが、過去2年は故障離脱と交流戦は初。セ相手に自慢の豪打でチームに勢いを与えられるか。
中日の注目は松坂大輔に尽きる。登板間隔こそ不規則ではあるものの、一軍先発ローテーションを勝ち取り、ここまで5登板で2勝。レッドソックス移籍前に主戦場にしていたパ勢との対戦は大きな見どころだ。ローテーションにもよるが、中でも古巣の西武、ソフトバンクとの対戦は大きな注目を集めるだろう。
初年度の05年から連覇し、通算でも165勝139敗14分けと交流戦を得意とするロッテだが、涌井秀章、石川歩、ボルシンガーの先発3枚は安定しているが、4枚目以降は流動的。有吉優樹、渡邉啓太などプロ初先発を経験したばかりの若手が「交流戦初先発」でも力を発揮することができれば、交流戦の舞台を上位進出の足掛かりにできるはずだ。
昨年、交流戦最下位だったヤクルト。投手陣は先発、救援ともに手薄なだけに、ここまで12本塁打のバレンティン、打率3割に乗せてきた山田哲人、久々の交流戦登場となる青木宣親ら打線の援護が欠かせない。
昨年はパ首位で迎えた交流戦だが、今年は最下位が定位置となってしまった楽天は交流戦を巻き返しのきっかけとしたい。則本昂大、岸孝之の両先発右腕が頼みの綱。昨年は交流戦で貯金2。打線は今江年晶、ペゲーロを中心に、得点力が上がってきた。投打がかみ合う本来の姿に戻れば、今年も上位争いを演じることができそうだ。
【文責:週刊ベースボール】