一度も負けることなくCSを勝ち上がった阪神は乗りに乗っている。29年ぶりの日本一へ、その勢いは強みだろう。
福岡ソフトバンクとの今季の戦績は2勝2敗と五分なだけに、いかにCSのときのように、接戦をモノにする粘り強い戦いができるかが重要になる。
打撃では、四、五番を打つ打点王のゴメス、首位打者のマートンがキーマンになることは間違いない。この2人に得点を稼がせるためには、いかにそれまでに走者をためることができるかだ。そこで脅威になるのが鳥谷敬の存在だろう。出塁率.406と簡単には終わらないバッティング。そこに得点圏打率.355と決定力もあるだけに、流れを作り出すことも、試合を決めることもできるのが強みだ。
さらに後半戦から徐々に調子を上げてきているベテラン・福留孝介、西岡剛の存在も見逃せない。福留はCSファーストステージで広島のエース・前田健太から本塁打を放ち、その1点で勝利したほどの勝負強さがある。配球を読んで狙い球を待つことができる技術と選球眼もベテランならでは。西岡はCSから一番に定着し、二番・上本博紀との抜群のコンビネーションで、攻撃パターンのバリエーションも増えた。
投手陣では、エースの能見篤史をはじめとしたメッセンジャー、岩田稔、2年目ながら11勝を挙げた藤浪晋太郎と先発陣は盤石だ。福岡ソフトバンク打線に流れを渡さず、7回まで踏ん張れるかが勝利をもぎ取るポイントになるだろう。9回までつなぐことができれば、鉄壁の守護神・呉昇桓がおり、リードした展開でバトンを渡せば勝利は確定したと言っても過言ではない。さらに呉昇桓の存在の重要さはそのピッチングだけではない。9回までに試合を決めなければいけないというのも相手にとってはプレッシャーになる。1人ひとりがしっかりと自分の役割を全うすることができれば、勝利はおのずと見えてくる。