株式会社西武ライオンズ
代表取締役社長 小林信次殿
日本プロフェッショナル野球組織
コミッショナー代行 根來泰周
株式会社西武ライオンズに対し、以下に掲げる制裁を科する。
制裁金として、30,000,000円を、日本プロフェッショナル野球組織を通じて、社団法人日本野球機構に納付しなければならない。
ただし、野球振興のため、同組織の指定する団体に対し、総額において同金額の金員、またはそれに相当する代価の野球用具等を提供して金員納付に代えることができる。
2007年(平成19年)に施行する高校生を対象とするドラフト上位2選手の指名は辞退しなければならない。
日本プロフェッショナル野球協約(以下野球協約という)にいうところの新人選手に対して金品を供与する行為は、野球協約において明文をもって禁止されているとは断じ難いが、1994年(平成6年)10月14日実行委員会確認事項、2004年(平成16年)1月28日付け日本高等学校野球連盟会長と日本プロフェッショナル野球組織コミッショナーとの間に締結された覚書並びに同年9月7日及び12月7日、株式会社読売巨人軍、株式会社横浜ベイスターズ及び株式会社阪神タイガースに対してなされた大学選手に係る金員供与を理由とする制裁等を総合勘案すれば、新人選手に対する金員の供与は、野球協約第194条の規定に該当し、制裁の対象となるものと解せられる。 その見解に立って2005年(平成17年)6月20日、日本プロフェッショナル野球組織に属する12球団が「倫理行動宣言」を発し、その決意を内外に宣言したところである。
しかるに、株式会社西武ライオンズ(以下西武球団という)は
ものである。
調査結果等によると、同球団創立時にさかのぼれば、
の各事実が認められた。
1については、日本学生野球憲章において、選手の周辺者に対する金品の供与の禁止は、第三者の立場から見た場合において明示されているとは解し難いところもあったため、前記の倫理行動宣言で本野球組織として、その点について明確に禁止することを申し合わせたものである。したがって、倫理行動宣言前のかかる行為については、野球協約違反であるとすることは適切と考えられない。
2については、本野球組織内の申し合わせが制裁の対象とする拘束力のあるものではないから、申し合わせに反するとして制裁を科することは適当ではないが、野球協約第194条にいう「野球を不朽の国技とし、利益ある産業とする目的」に抵触する疑いがあるというべきであり、今後かかることのないよう、厳重に注意する。
その他若干の軽微と思われる不適切な事案も認められるが、いずれも相当以前のことであり、時効的な考え方も考慮して制裁の対象としない。
なお、新人選手に対する金品の供与についても倫理行動宣言以降の事案に限って問責するのが相当との見解もあり得るが、前記の読売巨人軍、横浜ベイスターズ及び阪神タイガースに対する制裁の理由となった大学選手に係る金員の供与は、2003年(平成15年)12月から翌2004年(平成16年)7月ころまでの間に行われたものであり、これらとの均衡上、問責の対象期間は、倫理行動宣言前、少なくとも2003年までさかのぼるのが相当と考える。
さらに本件は、スカウト等の現場担当者と球団を代表する社長等と協議のうえ行われたもので、いわば球団自体が主体的に敢行したものと認められること、関与した会社幹部は他に転出し、スカウト等は本野球組織に対する登録を抹消していることから、会社幹部、スカウト等個人に対しては、親会社、球団の処分に任せ、本組織としては制裁を科さない。
いずれにせよ、本件、とくに倫理行動宣言以降の新人選手に対する金員の供与は、まことに遺憾というべく、その責任を問い、今後の同種事案の再発を防止するため、制裁金を科したほか、あえてドラフトの指名を放棄することを求めたものである
以上