1月29日、パシフィック野球連盟会長に対し、オリックス・バファローズ球団と福岡ソフトバンクホークス球団から、それぞれジェレミー・パウエルについて選手契約承認申請がなされた。
両球団の申請を総合すれば選手契約承認の対象選手について競合し、矛盾するので連盟会長において受理することなく「預かり」とするとともに申請両球団に善処方を要望した。
2月4日、両球団の協議が不調となったため、パシフィック野球連盟会長は、両球団に対し、勧告を行った。
その後当職に対し、オリックス・バファローズ球団から、パシフィック野球連盟会長を相手方として提訴状が提出され、また福岡ソフトバンクホークス球団から意見書が提出された。
両者立論の根拠に異同はあるが、要するに連盟会長の勧告を不服とし、これに同意し難いこと、自球団のパウエル選手契約の承認申請を速やかに認めるべきことを骨子とするものであった。
連盟会長の勧告について
当事者から事前の一任を取り付けている場合、事後に承認同意があった場合は、勧告が有効となるが、両者を欠く場合、何らの行為も必要とせず、「当然に」その勧告は、効果を発しない。
選手契約の承認申請について
1月29日付けで両球団それぞれから申請がなされた扱いとなっており、それが連盟会長において「預かり」という状況にある。
オリックス・バファローズ球団の提訴、福岡ソフトバンクホークスの意見書提出について
連盟会長において本件についてなんらの処分を行っていない。 また協約第187条の要件を欠く。 したがって提訴は、その前提から認められない。
連盟会長の選手契約申請に対する対処について
連盟会長において「預かり」としている両球団からの選手契約の申請についての取り扱いは、一方を承認し、他の一方を不承認とするか、双方を不承認とするかのいずれかである。 双方不承認の場合は、両球団においてパウエル選手の真意を尋ね、いずれの球団を選択するかについての本人の署名のある書面を添付して再度、承認申請を求める球団に対して契約を承認すべきであろう。
もとより選手契約の承認は、連盟会長の専権事項であるから、両案の選択は、最終的には、連盟会長に委ねられるが、当職としては、両球団の申請を一旦不承認とした上でパウエル選手の選手契約の確認を得られた球団から再度の申請があれば、これを認めるということが妥当であり、理に叶っていると考えられるので、さような方策を採られることを連盟会長に要請する。 ただし契約条件は、従前と変更のないこと、両球団以外の球団からのパウエル選手についての申請は認めぬということを前提とする。
実行委員会に対する提案について
今回の紛議に関し、今後かかる事態を招かないような対策が必要か、どうか。 必要とすれば、球団間の申し合せ、規定の新設等を含め、どのような対策等を考慮すべきかを議題として提案するつもりである。
外国選手との選手契約の実態がやや不透明なところもなくはなく、それを明らかにするとともにその在り方も当然に考究することになろう。