野球は、家族のスポーツです。 ホームベースを見てください。 家の形をしています。 家から旅立った家族=チームの一員を家族が協力して無事に家に迎え入れるのが野球の試合です。
試合には冒険、波乱、自己犠牲、協力…… と家族が心を一つにして挑む様々な要素に満ちています。 そして、それが7ヶ月間、ほとんど毎日続くのです。 プレーする人も、それを見る人も、歓喜に酔ったり、屈辱に歯ぎしりしたり、笑ったり、泣いたり、あきらめたり、奮い立ったりします。 日々そんなドラマを生み出すのが「野球力」です。それは、そのまま人生を映し出しているようです。 いや、人生が野球を真似しているのかもしれません。 野球はこうして人生に重なり、日本人の日々の生活にすっかり溶け込んで、かけがえのない文化になったのです。
今年も、交流戦を含めたレギュラーシーズンに、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、アジアシリーズと、未知のドラマを秘めた長い戦いが続きます。 8月には北京五輪もあります。 日本野球の底力と魅力を示す絶好の舞台が待ち受けているのです。
ここで、私たち日本プロフェッショナル野球組織(NPB)は「野球の持つ力をもっと引き出して、より魅力あるものにしたい」と考えました。 その思いを「野球力」という一語に込めたのです。
家族のスポーツを「野球力」でパワーアップして、ファンと共に喜び、悔しがりながら、日々元気に前進しようと思うのです。
全プロ野球人”誓いの言葉”
2005年の「フルスイング!プロ野球。」、2006年の「すべては歓声のために」、2007年「すべては歓声のために~世界一からの挑戦~」に続き、社団法人日本野球機構は2008年シーズンの統一スローガン を決定いたしました。 12球団が一つになり、全プロ野球人の思いを込めた“誓いの言葉”で、長い歴史と伝統を誇る日本の野球の持つ力を再認識し、その実力を国内、世界へとアピールするとともに、ファンのために尽くす気持ちを忘れず、日々戦う気持ちを込めた決意表明です。
2006年に日本代表チームは第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一の栄冠をつかみ、そしてまた今年も北京オリンピックで再び世界一を目指す戦いに挑みます。 こういったチャンスに恵まれていること、また、今、我々がプレーヤーとして、球団職員として、このプロ野球に携われることは、野球が大好きで、愛し続けた先人の熱き思い、努力があったからこそです。
そういった多くの先輩方によって育まれた長い歴史、伝統を持つ日本の野球の良さ、凄さを再認識したい。 日々、野球ができることに感謝し、その実力、魅力を日本中の球場で、世界の舞台で見せることで、さらに「野球の持つ力」をファンの皆様とともに向上させたい。 そして、未来の子供たちに、この大切な文化を残し続けたい――。 この3文字には、そんな強い思いがこもっています。
選手、監督、コーチ、球団職員が「野球力」を発揮する場は、グラウンド内にとどまりません。 環境問題や社会貢献、慈善事業などにも、我々ができることについて積極的に取り組んでいきたいと思っています。
昨年に続き、今回も日本代表監督の星野仙一氏がナレーションを担当。 熱き男の声でファンへメッセージをお届けします。
題字は、映画「北の零年」「春の雪」なども手がけ、現在、様々なアーティストとのコラボレーションによるパフォーマンスを行い、注目を集めている書道家の武田双雲さん。 自らも野球をしていた経験を持つ武田双雲さんの「野球」に対する思いが詰まった力強い文字は、絶妙のバランス、リズム感、奥行きがあります。 ポスターでの使用はもちろんのこと、今回は(武田双雲さん自身)プロモーションビデオにも出演していただいております。
このスローガンは、日本野球機構、チーム、選手会などの枠組みを取り払い、一人一人が一プロ野球人として、プロ野球界発展に取り組むための決意を表したものです。 このスローガンを前面に打ち出したプロモーションビデオ、ラジオCM、ポスターなどを用いて、できるだけ多くの方に親しんでいただく予定です。 また、今後の展開につきましてはファンやあらゆる関係者のご意見を頂きながら、積極的に取り組んでいきたいと考えています。