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【コラム】栄光の背番号「27」を背負うDeNAのドラフト1位右腕がプロ初勝利

 今季、東洋大からドラフト1位でDeNAに入団した上茶谷大河の前にプロの壁が立ちはだかっていた。デビュー戦となった4月2日のヤクルト戦(神宮)では持ち味である低めに丁寧に制球されたストレートを主体としながらも、カットボールやチェンジアップなどの変化球で打者を翻弄するピッチングで7回を6安打1失点。しかし、リリーフが打ち込まれたためプロ初勝利を逃した。「われわれの想像以上のピッチングだった。勝たせてあげたかった」とラミレス監督は賛辞を送ったが、その後も白星からは縁遠くなる。

 プロ2戦目となった9日の阪神戦(甲子園)では6回3失点。勝ち投手の権利を手にしたまま降板したが、またしてもリリーフ陣が炎上して、プロ初勝利を手に入れられなかった。その後、4月末に登録抹消されファームでリフレッシュ。再登録されて12日ぶりのマウンドとなった5月11日の広島戦(マツダスタジアム)でも6回2失点と試合をつくったが、打線の援護がなく3敗目を喫した。

 6試合に先発して未勝利。「勝てなくて、自分の調子が良くなくて焦りもあった」が、チームの先輩で昨季の新人王・東克樹から「いつか勝てる。1勝すれば変わるよ」と励まされた。「打たれてもカリカリしないように」と心を入れ替えて迎えた5月18日のヤクルト戦(神宮)、4回裏、村上宗隆に同点3ランを浴びたが、味方を信じた。

 すると打線が5回表、すぐに3点を勝ち越し、奮い立った。5回裏、一死から坂口智隆に四球を与えたが、続く青木宣親、山田哲人を渾身のストレートで連続中飛。6回裏、二死一、二塁で降板したが、リリーフ陣が後続を断ち、打線もルーキーに勝ち星をつけようと7回に一挙5点。最後は三嶋一輝が締め、上茶谷は待望のプロ初勝利。チームも5カードぶりに勝ち越した。

 「勝つことは難しいという気持ちと、1勝できてうれしい気持ちがあります」とホッとした表情を浮かべた上茶谷。「これからどんどん勝っていくと思う」とラミレス監督は目を細めたが、現在最下位と苦しむチームで指揮官がルーキーにかける期待は大きい。それは背番号にも表れている。「27」。通算201勝を挙げたかつてのエース・平松政次が着けていた背番号だ。

 「偉大な背番号をいただき、光栄です。現役で投げる姿を見たことはありませんが、大学時代、よく甲斐野(央。ソフトバンク)たちとゲームをやっていたんです。そこに登場する平松さんのカミソリシュートの曲がり具合が本当にすごくて。甲斐野はずっと使っていました(笑)。ですから、“あの平松さん!”と思い入れがあるんです。背番号というのは活躍すれば、どんどん自分のものになっていくと思います。“27は上茶谷”と言ってもらえるように努力していくつもりです」

 プロ初勝利を挙げ、本当の意味でプロの第一歩を踏み出した上茶谷。背番号27の目の前にはエースへの道が待っている。

 【文責:週刊ベースボール】