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日本野球機構オフィシャルサイト

NPBアンチ・ドーピングガイド2024

ダニエル・リオス選手のアンチ・ドーピング規則違反に対する制裁の通知

2008年6月28日

  • 東京ヤクルトスワローズ球団
  • ダニエル・リオス 殿
  • 日本プロフェッショナル野球組織
  • アンチ・ドーピング特別委員会
  • 委員長 根來泰周
東京ヤクルトスワローズ球団所属ダニエル・リオス選手の
アンチ・ドーピング規則違反に対する制裁の通知
第1 制裁の内容

ダニエル・リオス選手に対し、2008年6月28日から2009年6月27日まで1年間の出場停止処分を科する。

第2 事実と理由

ダニエル・リオス選手は2008年5月21日の対埼玉西武ライオンズ戦(西武ドーム)において、他の3選手とともにNPB(日本プロフェッショナル野球組織)ドーピング検査実施要項によって、検査対象選手となった。

試合終了後、4人の選手はNPB医事委員会の小松裕医師による検査に応じ、リオス選手には東京ヤクルト球団からチーフトレーナーが同席した。

4選手の検体は手続きに則って、5月23日、世界アンチ・ドーピング機構、財団法人日本アンチ・ドーピング機構公認検査機関である三菱化学メディエンス株式会社に持ち込まれた。 その結果、検体番号145495のA検体から、蛋白同化薬として禁止物質に指定されているハイドロキシスタノゾロール(hydroxystanozorol)が検出されたとの検査結果報告書(速報版)が、6月9日に、NPB医事委員会に提出された。 検体番号を調べたところ、リオス選手の検体であることがわかった。 この薬物は筋肉増強剤で、体内には存在しない、合成されたステロイドホルモンであり、競技会でも競技外でも禁止されている。

NPB医事委員会は同日夜開かれたNPBアンチ・ドーピング特別委員会に検査結果を報告、特別委員会委員である長谷川一雄NPBコミッショナー事務局長が翌10日、東京ヤクルト球団専務取締役、倉島今朝徳連盟担当に検査結果を通知した。

倉島連盟担当は同日夜、リオス選手に検査結果を伝え、事情を聞いたところ、この薬物を注射した記憶がないと話していた。 しかし、12日になって、昨年11月上旬から12月中旬の間、米フロリダ州マイアミで、背中の痛みの治療の際、注射を受けたことを思い出したという。

13日朝、NPB医事委員会の増島篤委員長、長谷川事務局長は倉島連盟担当、検査に立ち会った球団チーフトレーナー、球団国際担当課長、チームドクター同席のもと、リオス選手と面会した。 この時にはリオス選手の個人弁護士も同席した。

増島医事委員長から、規則に則って検査の前3日以内に服用したとしてリオス選手が申告した8種類の鎮痛剤、ビタミン剤などのほかに服用した薬物がないことを確認し、さらに検査の手順に間違いはなかったかどうかを尋ね、リオス選手は手順通り自らの手で自らの尿をA、Bのボトルに分け、自ら封印したと答えた。

その後、リオス選手は以下のような説明をした。

  1. (1)2年ほど前から起き上がる時などに背中に痛みを感じていた。年齢から来るノーマルなものかと思っていたが、紹介されたマイアミの医師に診てもらい、2007年11月上旬から12月中旬の間、注射による治療を受けた。
  2. (2)治療と並行して、個人で雇っているトレーナーからエクササイズの方法などを教わった。
  3. (3)注射の内容についての説明は最初なかったが、少しずつ注射を打っている中で質問をして、ドーピング禁止薬物であることを知った。
  4. (4)その際、医師は、この薬はすぐに体から出て行く、と言っていた。
  5. (5)この期間以後は、日本に来ることもあって、治療は受けていない。
  6. (6)キャンプ中にトリベスタンというサプリメントの摂取の可否についてNPB医事委員会に問い合わせた結果、その成分に、男性ホルモンで禁止薬物でもあるテストステロンの体内合成を高める作用があったり、その化学構造がテストステロンに類似しているというものがあるので、摂取は避けた方がいい、と言われ、以後は摂取していない。トリベスタンは摂取はしていないが、所持はしているので、提出する。
  7. (7)B検体を検査して欲しい。
  8. (8)検査の3日前よりさかのぼると、脂肪燃焼効果のあるサプリメントを摂取していた。

NPBアンチ・ドーピング特別委員会は直ちにB検体の分析の手続きを取った。 6月21日にB検体の分析が行われ、同25日午前、A検体とまったく同じ物質が検出されたとの結果がNPBアンチ・ドーピング特別委員会に伝えられ、直ちに、長谷川事務局長が倉島連盟担当に電話で検査結果を伝達した。

その間、6月19日にはリオス選手の代理人弁護士から (1)禁止薬物スタノゾロールが検出された事実について争いはない (2)ただし、腰痛治療で注射により使用したが本人の故意ではない ――などを主旨とした上申書が提出され、リオス選手からは「今後は医師がいかなる薬を勧めても、チームドクターに禁止物質が含まれていないか聞く。また念のため、今後はいかなるサプリメントも使わない」との誓約書が提出された。


上記の事実を総合的に判断し、6月28日の委員会において、頭書の制裁を決めた。

以上