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阪神が9回に逆転で3年ぶり6度目のファーム日本一

　10月9日、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で「2021年プロ野球ファーム日本選手権」が開催された。ファームの日本一を懸けた頂上決戦に挑んだのはロッテと阪神。ロッテはイースタン・リーグで2位・巨人に9.5ゲーム差と独走で7年ぶりの優勝を飾った。阪神はウエスタン・リーグでファーム記録の18連勝をマーク。ソフトバンクとの激しい優勝争いを制して、3年ぶりの頂点に立っていた。

　ロッテは森遼大朗、阪神は村上頌樹とシーズンで10勝を挙げて最多勝を獲得した両右腕が先発した。育成4年目の森は都城商高出身。地元・宮崎で粘りのピッチングを披露した。初回、三塁の悪送球で先頭・江越大賀に出塁をされたが、後続の小幡竜平、板山祐太郎を連続三振。四番・陽川尚将の打席時に一走・江越に盗塁を許し、陽川には四球で二死一、二塁とされたが、続く髙山俊を空振り三振でピンチを脱した。以降も5回まで毎回走者を出すも落ち着いたピッチングで阪神打線に得点を与えない。

　一方、新人の村上はキレのあるストレート、変化球を捕手の要求どおりに投げ込む抜群の制球力を発揮。コーナーに集める丁寧なピッチングで5回二死まで一人の走者も許さない。15人目の打者、六番・福田光輝に対してもカウント1ボール2ストライクと追い込む。5球目のフォークも外角低めに鋭く落ちたが福田光が巧みにとらえ、左前に。パーフェクトピッチングが途絶え、村上はマウンド上で苦笑いを浮かべたが、続く西川僚祐をしっかりと中飛に打ち取った。

　緊迫の投手戦――。試合が動いたのは6回裏だった。好投の村上からロッテの先頭打者・茶谷健太が左前打を放つと、植田将太は投手と一塁の間に犠打。打球を処理した村上だったが、一塁へトスしようとした際、右手からボールがこぼれる。無死一、二塁となり、西巻賢二が送り、一死二、三塁。このチャンスに二番・髙部瑛斗がフルカウントから甘く入ったツーシームをとらえ、タイムリーを中前へ。ロッテが待望の先制点を挙げて、2対0とした。

　7回裏から阪神は一軍実績のある藤浪晋太郎がマウンドへ。最速162キロをマークするなど力のあるピッチングでロッテ打線を3者凡退に抑える。ロッテは8回表に森から古谷拓郎にスイッチして阪神打線を3人で片付けると、8回裏からマウンドに上がった齋藤友貴哉もロッテ打線を3人でピシャリ。あと1イニングをゼロで抑えればロッテが日本一――。頂点が目前の9回表は小沼健太が登板したが、イースタントップの18セーブを挙げた右腕が乱調だった。先頭の髙山に左翼二塁打、続く榮枝裕貴に中前適時打を浴びて1点差に迫られる。犠打と暴投で代走の奥山皓太には三塁まで進まれ、片山雄哉には四球で一死一、三塁。ここで九番・遠藤成に左前への同点打を浴びる。さらに、二死一、二塁となり小幡の一ゴロを福田光が後逸。二走・遠藤が3点目のホームを踏んだ。

　土壇場の9回に逆転した阪神。9回裏はロッテ打線に3人の左打者が続くことからサイドスロー左腕の岩田将貴がマウンドに上がる。岩田将は先頭から空振り三振、捕邪飛で二死とするも菅野剛士には四球。次打者が右であることから右腕の尾仲祐哉にスイッチ。一発が出れば逆転サヨナラだったが尾仲は冷静にカットボールで山本大斗を遊ゴロに打ち取りゲームセット。3対2と逆転勝利を収めた阪神が、3年ぶり6度目のファーム日本一に輝いた。

　阪神の平田勝男二軍監督は「半分あきらめていました。ロッテは強かったね。あきらめかけていたところで、選手は最後まであきらめずにやってくれました。ひたむきにやった選手は必ず一軍で活躍するので楽しみにしてください」と若虎の未来に期待した。最優秀選手賞に輝いたのは9回の同点打など2安打を放った阪神の遠藤。「練習から常に逆方向を意識していたので、あの場面で出て良かった。毎日の練習でつけてきた体力、忍耐力が9回の逆転劇につながったと思います」と喜びを口にした。優秀選手には2安打、1四球と3出塁を果たした阪神の片山、先発で7回無失点と好投したロッテの森が選ばれている。