【コラム】鉄腕・岩瀬、マルティネスに次ぐ2年連続30セーブ、竜の守護神が見る者の想像を超えていく
25年間の現役生活にピリオドを打つヤクルト・石川雅規の引退試合となった10月3日のヤクルト対中日(神宮)は、“小さな大投手”の最後の雄姿をひと目見ようと2万9328人が観戦に訪れた。この日の主役は、まず7回裏に代打で登場。25年連続安打こそならなったものの、そのまま上った8回表のマウンドでは、中日の森駿太を渾身のストレートで空振り三振に斬って取り、スタンドを沸かせた。
そんな千両役者のパフォーマンスの余韻が残る中、3対1と2点をリードして迎えた9回裏、いつもと変わらず、鬼気迫る表情でマウンドに仁王立ちしたのが中日のクローザー・松山晋也だ。
敵軍のイベントムードなど一切関係なし。マウンド上から眼光鋭く対峙する打者をにらみつけ、まず先頭の山田哲人を力強いストレートで右飛に仕留める。続く西村瑠伊斗は2球で追い込み、フォークで空振り三振に。「遊び球など不要」といわんばかりの3球勝負だ。最後も田中陽翔をフォークで空振り三振に仕留め、2026年の最終戦を勝利で締めくくった。
今季限りで監督を辞す井上一樹監督に、最後のウィニングボールを届けられたことを喜ぶ松山だったが、自身の成績には首を振る。45試合に登板し、1勝4敗、防御率1.70。この日の試合でリーグ2位となる31セーブ目をマークしたが、左脇腹のケガで開幕に間に合わず、2025年に46セーブを挙げて手にしていた最多セーブ投手のタイトルを、巨人のライデル・マルティネス(42セーブ)に奪われている。チームも全日程を終えた時点で6位とふるわず、自身の成績と共にリベンジを誓う。
八戸学院野辺地西高から八戸学院大をへて、2023年に育成ドラフト1位で中日に入団。当初の背番号は211番だった。新人年からファームでリリーバーとして経験を重ね、2023年はウエスタン・リーグで21試合に登板し0勝1敗10セーブ、防御率3.26の好成績をマーク。このパフォーマンスが認められ、6月5日に支配下契約を勝ち取っている(背番号は90)。翌6日には早速一軍から声が掛かり、6月17日の日本ハム戦(バンテリンドーム)で初登板。8月以降は勝ちパターンに組み込まれ、同年は一軍で36試合登板、1勝1敗0セーブ17ホールド、防御率1.27と飛躍を遂げた。
開幕から一軍のブルペンに欠かせない存在となった2024年は、凄みを増す。シーズン中に15試合連続無失点を1度、21試合連続無失点を1度、と他を寄せ付けない投球を披露し、8月7日の試合で浅尾拓也(現中日投手コーチ)に次ぐプロ野球歴代2位の21試合連続ホールドポイントを達成。本拠地・バンテリンドームでは27試合に登板し、ただの1度も失点を喫することはなかった。59試合に登板、43ホールドポイントをマークして最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。翌2025年はマルティネスの巨人移籍の穴を埋めるべく、配置換え。満を持してのクローザー就任となった。
2025年の46セーブに続き、今季の31セーブで2年連続の30セーブ以上を達成。中日では通算407セーブの日本記録保持者・岩瀬仁紀に、今季通算250セーブ超えを果たしたマルティネス(現巨人)に次ぐ3人目の快挙だ。偉大な先人の背中を追い、どこまでその記録を伸ばすのか。「見ている人たちの想像を超えていきたい」と松山。これまでの道のりでも、周囲の評価を引っ繰り返してここまで来た。早くも2027年の投球が待ち遠しい。
【文責:週刊ベースボール】
