昨季の日本一、王者・福岡ソフトバンクの強さが際立った。6月に首位に立つと、一度も首位から陥落することなく、リーグ連覇を達成。2位・北海道日本ハムとのゲーム差は12と、Vロードを快走した。
“連覇”とはいえ、チームを率いたのは“就任1年目”の工藤公康監督。昨年11月の就任会見では、「故障というのが一番の戦力ダウンにつながる」と、選手のコンディショニングに注意を払ったが、開幕後は細川亨、鶴岡慎也、本多雄一、長谷川勇也、バリオス、攝津正、寺原隼人ら、多くが戦線を離脱。それでも、現有戦力を余すことなく起用し、各選手の好不調を全員でカバー。盤石の戦いぶりで2年連続の頂点に立った。
充実の戦力。右打者では昨年まで7年連続で打率3割を達成した内川聖一、左打者は今季、打率3割、30本塁打、30盗塁の“トリプルスリー”を達成した柳田悠岐を軸に、チーム打率はリーグトップの.267をマーク。投手陣も、先発では武田翔太、バンデンハーク、中田賢一、攝津、スタンリッジら、実力派が並ぶ。救援陣も勝利の方程式を確立した森唯斗、五十嵐亮太、サファテと強固だ。まさに王者。投打に盤石の布陣を誇る。
CSファイナルステージでも王者の貫録を見せつけた。2005年にレギュラーシーズン2位から、2010年には同3位から日本一に輝いた千葉ロッテが3度目の“下克上”を目論んだが、無傷の3連勝でSMBC日本シリーズ2015の進出を決めた。
チームを勢いづかせたのは主将・内川だ。CSファイナルステージ第1戦。試合は2対2で延長戦へ。迎えた10回裏、一死満塁の好機で内川が右前にサヨナラ打を放つと、第2戦では1対1で迎えた6回、二死一、二塁から左中間への2点二塁打で勝ち越し。第3戦でも3回に左前適時打で先制点をたたき出すなど、シリーズMVPに輝いた主将の大活躍で頂上決戦への切符を手にした。
最終決戦を前に、故障していた面々も調子を上げて復帰。役者がそろい、盤石の態勢で連覇へ挑む。「今まで、シーズンで戦ってきたとおりに戦えば大丈夫」と工藤監督。秋山幸二前監督からバトンを受け継いだ新指揮官率いる、“王者・ソフトバンク”が、2年連続の日本一へと邁進する。