14年ぶりにセ・リーグを制した東京ヤクルト。CSファイナルステージでは第1戦を落としたが、その後に3連勝を飾って読売を下し、SMBC日本シリーズ2015の出場を決めた。
大混戦を極めた今季のセ・リーグ。負けが許されない試合が続く中、優勝経験の有無がポイントに挙げられた。だが、リーグ制覇を果たしたのは、優勝経験者の少ない東京ヤクルトだった。
リーグVの要因は、破壊力のある打線だ。195安打を放って最多安打を獲得した川端慎吾をシーズン後半戦は二番に固定。三番は打率3割、本塁打30本、30盗塁の“トリプルスリー”を達成した山田哲人、四番には105打点を挙げて打点王に輝いた畠山和洋を据え、リーグトップのチーム打率.257で、同トップのシーズン計574得点をたたき出した。
さらに、昨年は防御率4.58と精彩を欠いた救援陣が、今季は安定したのも大きい。いまや勝利の方程式となったロマン、オンドルセク、バーネットの3人の外国人右腕に加え、秋吉亮、九古健太郎ら、今季の救援陣の防御率は2.67でリーグトップ。ブルペン陣の改善が好結果を招いた。破壊力のある打線で得点を奪い、中盤以降は抜群の安定感を誇る救援陣がリードを守る。真中満監督が言い続けた「粘り強く戦う」を体現しながら、勝ちパターンを確立し、史上空前の大混戦を制した。
CSファイナルステージでも、シーズン同様の戦いを見せた。第1戦こそ1対4の逆転負けを喫したが、以降は持ち前の「粘り強さ」を発揮。第2戦は4回に四番・畠山の右犠飛などで2点を先制、6回には六番・バレンティンが2点適時打を放つと、先発・小川泰弘がこのリードを守り、最終回はバーネットが締めて4対0でシャットアウト。第3戦も継投が光り、6回に七番・今浪隆博の左前適時打などで挙げた2点を先発・館山昌平、秋吉、九古、オンドルセク、バーネットの完封リレーで王手をかけた。第4戦は1、2回に3点を奪うと、先発の杉浦稔大が5回2失点の粘投を披露。以降は、盤石の救援陣で逃げ切り、SMBC日本シリーズ2015の進出を決めた。MVPには、第1~3戦でマルチ安打を放つなどの活躍を見せた川端が選出された。
ツバメの快進撃は、どこまで続くのか――。このまま14年ぶりの日本一へ突き進む。