夢の球宴「マイナビオールスターゲーム2019」第2戦が7月13日、雨の降る甲子園球場で5年ぶりに開催された。
試合前に行われたホームランダービーは第1戦(東京ドーム)で決勝進出を決めていた吉田正尚(オリックス)と、この日、決勝まで勝ち上がってきた鈴木誠也(広島)の対決に。先攻の吉田正が2分間で3本放つと、鈴木は最初の5スイングで3本のサク越え。あっという間に追いつくと残り1分を切った瞬間に4本目をバックスクリーンへ。2019年度のホームランダービー王者に輝いた。優勝賞金100万円を手にした鈴木は、打球の平均速度が最速の選手に贈られる「日産ノート e-POWER賞」も獲得した。
試合でもホームランが乱打された。セ・リーグの先発マウンドに立った菅野智之(巨人)が初回を無失点に抑えた、その裏だ。先頭の阪神新人・近本光司がパ・リーグ先発の山岡泰輔(オリックス)の2球目、147キロの外角真っすぐにバットを一閃。「皆さん(選手たちが)フルスイングしていたので、自分も初球からいってやろうと思っていました」と強く叩いた打球はグングンと伸びて左中間スタンドへ。新人では初となる球宴の先頭打者本塁打で勢いづいたセは続く二番・高橋周平(中日)、三番・山田哲人(ヤクルト)が連続安打で続き、五番・鈴木の遊ゴロの間に2点目を奪った。
さらにお祭り騒ぎとなったのは2回裏だ。パの2番手・髙橋光成(西武)から七番・原口文仁(阪神)が左翼席にライナーで飛び込むソロ本塁打。八番の同じく阪神の梅野隆太郎も左翼席へ2者連続本塁打を放った。一死後には一番・近本から五番・鈴木まで四番・筒香嘉智(DeNA)の左中間への3ランを含む5者連続安打で4点を奪うなど、打者一巡の猛攻。セは一気に6点を挙げて、序盤で8対0と大量リードを奪った。
パは3回表に反撃。セの2番手・柳裕也(中日)から一番・西川遥輝(日本ハム)の右前適時打で1点を返すと、三番・吉田正が右中間に2ランを放ち3点を返す。だが、セの打線は3回に入っても勢いは止まらず、3番手・美馬学(楽天)に対し、二死から近本が3打席連続安打となる右前打を放つと、続く高橋周が中堅フェンス直撃の二塁打。一走・近本が一塁から生還し9点目を挙げると、4回裏には4番手・二木康太(ロッテ)から鈴木が左中間席にソロ本塁打。セは5回までにパの投手に対して5本塁打を浴びせ、10点を奪った。
セは青柳晃洋(阪神)、床田寛樹(広島)が5回以降、パの強力打線を無失点に抑える。パも負けじと5番手・平井克典(西武)、6番手・高橋礼(ソフトバンク)が5、6回を無得点に抑えたが、最大の見せ場が7回裏に訪れた。一塁に坂本勇人(巨人)を置き、近本が高橋礼から左翼手の頭を越えるタイムリー三塁打。この一撃で1992年の古田敦也(ヤクルト)以来、オールスター史上2人目のサイクル安打達成の快挙となった。「何としても打球を上げようと思っていたので。いいところに飛んでくれました」と近本は満面の笑顔で大記録達成を喜んだ。
セは8回にジョンソン、9回に藤川球児と、甲子園を本拠地とする阪神勢の継投でパの打線に得点を許さず、11対3で勝利。連敗を「5」でストップさせた。
最優秀選手賞(MVP)には新人初の先頭打者弾、サイクル安打に球宴タイ記録の5安打をマークするなど、記録ずくめだった近本が受賞。「ファンの方の声援が力になりました」と甲子園球場の大声援に感謝した。敢闘選手賞には球宴4年連続本塁打の筒香と3安打の高橋周、本塁打を含む2安打を放った吉田正が選ばれた。また、2試合連続本塁打を放った原口にマイナビ賞とTwitter賞が贈られた。
2019年7月13日(土)
甲子園 ◇開始 18:34 (2時間45分) ◇入場者 45,217人
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
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パシフィック・リーグ | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 9 | 0 |
セントラル・リーグ | 2 | 6 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | x | 11 | 20 | 2 |
[パ] | 山岡(B)、髙橋光(L)、美馬(E)、二木(M)、平井(L)、高橋礼(H)、増田(L) - 甲斐(H) |
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[セ] | 菅野(G)、柳(D)、青柳(T)、床田(C)、ジョンソン(T)、藤川(T) - 梅野(T) |
[パ] | 吉田正(B)(3回2ラン 柳) |
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[セ] | 近本(T)(1回ソロ 山岡)、原口(T)(2回ソロ 髙橋光)、梅野(T)(2回ソロ 髙橋光)、筒香(DB)(2回3ラン 髙橋光)、鈴木(C)(4回ソロ 二木) |