10月5日、爽やかな秋空から時折じりじりと太陽が照りつける中、サンマリンスタジアム宮崎で、「2019年プロ野球ファーム日本選手権」が開催された。二軍の日本一を決める特別な戦いに挑んだのは、球団創設15年目で初めてイースタン・リーグを制した楽天と、2016年以来3年ぶり12度目(南海時代を含む)のウエスタン・リーグ王者のソフトバンク。奇しくもパ・リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージと同カードとなった。
試合は、イースタンで9勝を挙げて勝率.818と勝率第一位投手賞に輝いた藤平尚真(楽天)、プロ入り11年目、今季は一軍でも自身初となる先発勝利を手にした二保旭(ソフトバンク)の両右腕が先発。序盤2回までは両者ともに三人ずつで打ち取り、投手戦の様相を呈していたが3回表、ソフトバンクの攻撃で試合が動き出す。
先頭の真砂勇介が左翼へのヒットで出塁すると、次打者の川瀬晃が送りバントの構えからヒッティングに切り替えて左前へ。スタートを切っていた一走の真砂は一気に三塁まで、送球の間に打った川瀬も二塁まで進んだ。直後、美間優槻の初球、三塁への強い当たりを内田靖人が後逸。二走・川瀬もかえって、ソフトバンクが2点を先制する。
ソフトバンクは4回表も、先頭の栗原陵矢が左中間へ二塁打で出塁。市川友也の中前打で栗原が快足を飛ばして1点を追加し、送りバント、再び三塁・内田のエラーで一死一、三塁に。ここで楽天ベンチも先発・藤平から2番手にスイッチしたが、代わった弓削隼人の初球を川瀬が意表を突くスクイズ。三走・市川がホームを陥れると、三塁への送球を焦った相手のエラーで一走・真砂も生還し、もう2点を追加した。
5回にも1点を失い、6点のビハインドを追った楽天だったが6回裏、代わったばかりソフトバンクの2番手・笠谷俊介を攻め、四球と卓丸の左前打、代打・耀飛が初球を中堅へ放って1点を返し、なおも一死二、三塁としたが、3番手・岡本健の前に後が続かず。
9回裏も、相手のエラーで先頭・耀飛が出塁すると、岩見雅紀、下妻貴寛の代打攻勢で連打を浴びせて1点をかえし、しぶとく食らいついたが、反撃もここまで。3、4、5回とチャンスを逃さず得点を重ねたソフトバンクが4年ぶり4度目のファーム日本一を飾った。相手のミスを生かし得点に結びつけたソフトバンクとミスに乗じることのできなかった楽天で明暗が分かれた。
試合後、選手たちの手によって5度宙を舞った小川一夫監督は「ウエスタンを代表して“勝つこと”を最優先にしていくと選手たちには伝えました。できること、普段どおりの戦いを選手たちはしてくれた」と喜びを語った。
最優秀選手賞(MVP)は、先発として5回を投げて被安打2、6奪三振で無失点に抑えた二保が輝き、「一発勝負なので試合を壊さないように。自分としては結果を求めた中でいいピッチングができました」と笑顔を見せた。なお、優秀選手賞には優勝チームのソフトバンクから2人、3安打1四球と全4打席で出塁を果たし攻撃の起点となった四番・栗原と、2安打1打点、バスターやスクイズなど小技での活躍も光った川瀬が選ばれている。
2019年10月5日(土)
宮崎サンマリン ◇開始 13:01 (2時間50分) ◇入場者 5,044
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
福岡ソフトバンクホークス | 0 | 0 | 2 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 9 | 2 |
東北楽天ゴールデンイーグルス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 3 | 6 | 4 |