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【記事】〔セ・リーグ〕セを圧倒し25年ぶりリーグV。鯉の季節は、終わらない――。

 強さが際立った。今季のセ・リーグは、まさに“赤”一色。4月終了時点で2位に付け、5月に首位に立って以降は、他球団の追随を許さず。一度も首位から陥落することなく、8月24日に優勝マジック20を点灯させて以降、順調に減らしていき、9月10日に1991年以来、25年ぶりとなるセ・リーグ制覇。球団新記録となるシーズン89勝をマークし、2位・読売とのゲーム差は17.5とVロードをひた走った。

 原動力は、投打のベテラン2人だ。昨年、メジャーから古巣・広島に復帰した黒田博樹が、投手陣の精神的支柱に。今季、日米通算200勝を達成するなど、2ケタ10勝を挙げ、成熟された投球術でチームを鼓舞。オフにエース・前田健太がポスティングでメジャーへ移籍し、“エース不在”の状況の中で、今季41歳のベテランの力投がチームを一つにまとめた。

 打線をけん引したのは、中軸を担った新井貴浩だ。こちらも昨季、阪神から古巣復帰を果たしたプロ18年目のベテラン。今季はチームトップの101打点を叩き出すなど、勝負強さを発揮して幾度もチームを活気づけた。

 若手も忘れてはならない。二遊間の田中広輔、菊池涼介、中堅手の丸佳浩で形成されるセンターラインは12球団屈指の守備力を誇る。また、彼ら3人が一〜三番に並び、チャンスメークを果たすなど得点の原動力に。投手では右腕・野村祐輔が、リーグトップの16勝をマークと飛躍。救援陣では今村猛が67試合登板とフル稼働し、中﨑翔太が34セーブを挙げるなど、安定した投球を見せた。

 さらに、今季の開幕投手を務めた左腕のジョンソンや、中継ぎ右腕のジャクソン、抜群の長打力に打率.294と確実性も増したエルドレッドらの外国人選手の力も加わり、盤石の戦力に。ペナントレース同様、CSファイナルステージでも、その力を発揮し、ファーストステージで2位・読売に競り勝ち、勢いに乗る横浜DeNAを3勝1敗で一蹴。第3戦こそ落としたが、第1、2戦は完封勝ち。第4戦は、新井の先制左前打や、エルドレッドの3ランなどで、初回に一挙6点を奪い、主導権を握って勝利を収め、25年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

 「十分に手応えをつかんでいる。日本シリーズの準備はできた」と緒方孝市監督。CS突破は、まだまだ通過点。次は1984年以来、32年ぶりとなる“日本一”へ。“鯉の季節”は、まだ終わらない。