【コラム・交流戦見どころ】好調の西武が台風の目?主力が復調のDeNAが優勝候補に
「日本生命セ・パ交流戦2025」は6月3日に開幕し、6月22日まで計108試合の熱戦が繰り広げられる。過去19回の通算成績ではパ・リーグが1306勝1174敗76分と大きく勝ち越し。05年から19年までの15年間のうち、パが14シーズンで勝ち越したが、近年は実力が拮抗している。21、22年はセ・リーグが2年連続勝ち越し。23、24年はパが勝ち越したが、23年は54勝52敗2分、昨年は53勝52敗3分と僅差だった。楽天が昨年に史上初の交流戦優勝を飾るなど、シーズンで波に乗り切れなかった球団が交流戦で息を吹き返すケースは過去に何度もあった。今季は首位を走る日本ハム、昨年最下位に低迷したが優勝争いを繰り広げる西武、近年の交流戦で好成績を残しているDeNAの戦いぶりが注目される。
セ首位の阪神は、投打共に充実した戦力で貯金10と順調に白星を積み上げている。打線は三番・森下翔太、四番・佐藤輝明、五番・大山悠輔の和製クリーンアップが強力だ。佐藤輝はリーグトップの13本塁打、37打点をマーク。昨年は打撃不振でファーム降格を味わい、交流戦は9試合出場にとどまっただけに、打棒爆発に期待したい。先発陣は村上頌樹、才木浩人のダブルエースが安定感抜群。ドラフト1位左腕・伊原陵人も4勝1敗、防御率1.09と先発の軸になり、パ相手にどんな投球を見せるか注目される。
セ2位のDeNAは交流戦通算179勝236敗11分と大きく負け越しているが、近年は好成績をマークしている。23年に11勝7敗で交流戦初優勝を飾ると、昨年も11勝7敗と勝ち越し。オースティンが打率.338、12球団トップの5本塁打と打線を牽引した。今年は春先不振だった牧秀悟、佐野恵太、宮﨑敏郎と中軸が調子を上げており、先発陣も東克樹、トレバー・バウアー、アンソニー・ケイ、アンドレ・ジャクソンと能力の高い投手をそろえる。救援陣が機能すれば、交流戦優勝を十分に狙える。
セ3位の巨人は大黒柱の岡本和真が左肘靭帯損傷で長期離脱し、坂本勇人もファーム調整と誤算が相次いだが、泉口友汰、増田陸の活躍が目立つ。交流戦に向け、心強い存在が甲斐拓也だ。ソフトバンクの黄金時代に正捕手を務め、パの野球を熟知している。また、エリエ・ヘルナンデスは昨年の交流戦で打率.342、3本塁打、10打点の好成績を残している。今年は打撃の状態が上がっていないが、転機にできるか。エース・戸郷翔征の復調もカギを握る。
セ4位の広島は交流戦通算176勝235敗15分で、勝率.428は12球団最下位だが、23年は9勝9敗、昨年は10勝8敗と勝ち越したため苦手意識はないだろう。ポイントになるのがソフトバンク戦だ。昨年は3連敗するなど通算19勝46敗6分と大きく負け越している。今年はサンドロ・ファビアン、エレフリス・モンテロの加入で打線の破壊力が上がっている。投手陣もダブルストッパー体制で栗林良吏、テイラー・ハーンの状態が上向いており、粘り強い戦いで白星を積み重ねたい。
セ5位の中日は細川成也、福永裕基、中田翔と中軸で期待される選手が故障で離脱したなか、ソフトバンクから移籍2年目の上林誠知の活躍が光っている。借金3から巻き返しを図るが、交流戦では苦戦が目立っている。22年は7勝11敗で11位、23年は7勝10敗1分で9位、昨年も7勝11敗で11位と3年連続負け越し。エースの髙橋宏斗が23年の交流戦で3試合登板し、史上5人目の防御率0.00を達成。昨年も3試合登板で防御率0.47をマークしており、今年も快投に期待したい。
セ6位のヤクルトは投打がかみ合わず、目下5連敗中で借金17と低迷。村上宗隆、長岡秀樹、塩見泰隆と主力を故障で欠き、ドミンゴ・サンタナはコンディション不良でスタメンを外れる試合が続いている。山田哲人も打率.204、3本塁打と打撃の状態が上がってこない状況で得点力不足が深刻だ。ただ、交流戦の成績は健闘している。昨年は9勝7敗2分で4位に。22年は14勝4敗で2度目の優勝を飾り、シーズンでもリーグ連覇を達成した。交流戦を再浮上のきっかけにできるか。
パ1位の日本ハムは、新庄剛志監督就任4年目に成熟期を迎えようとしている。先発陣は伊藤大海、金村尚真、北山亘基、山﨑福也、加藤貴之、古林睿煬、達孝太、細野晴希と豪華な陣容で、12球団トップの10完投を記録。打線も今季3度のサヨナラ打を放っている郡司裕也を筆頭にフランミル・レイエス、清宮幸太郎、水野達稀ら勝負強さが光る選手がそろう。昨年は現役ドラフトで加入した水谷瞬が交流戦最高打率.438と打ちまくり、MVPを受賞した。今年も新星が現れるか楽しみだ。
パ2位のオリックスは昨年打撃不振だった西川龍馬、頓宮裕真、杉本裕太郎が好調で、右内腹斜筋の筋損傷で離脱していた森友哉が復帰したことでさらに打線に厚みが増した。太田椋が5月下旬に死球による右手首打撲で登録抹消されたのは痛手だが、攻守で躍動している廣岡大志が心強い。交流戦通算214勝201敗11分と勝ち越しているが、中日戦は29勝41敗1分と分が悪い。昨年も3試合で計4得点と打線がつながりを欠き、1勝2敗と負け越した。敵地・バンテリンドームで雪辱を期す。
パ3位の西武は球団ワーストの91敗を喫して最下位に沈んだ昨年から生まれ変わり、優勝争いに食い込んでいる。今井達也、隅田知一郎と左右の絶対的なエースを擁し、救援陣も今季ブレークした山田陽翔、甲斐野央、トレイ・ウィンゲンターから守護神・平良海馬につなぐ勝利の方程式を確立している。昨年の交流戦は4勝14敗と大きく負け越して12位だったが、今年の戦い方を貫けば大崩れすることはないだろう。打率.331と打撃好調の渡部聖弥が左足首捻挫で離脱しているが、交流戦で復帰予定。活躍が期待される。
パ4位のソフトバンクは優勝候補と目されていたが、主力選手の故障が相次いで3、4月は9勝15敗2分と苦しいスタートに。だが、5月以降は野村勇、柳町達、川瀬晃の台頭や栗原陵矢、近藤健介、周東佑京らが復帰し、救援陣も安定感を取り戻したことで借金を完済した。交流戦は12球団最多の8度優勝を飾り、通算251勝157敗18分、勝率.615と12球団で唯一勝率が6割を超えている。今年も一気に貯金を増やすか。上位3球団を追いかけるためにも、シーズンを占う上で重要な戦いになりそうだ。
パ5位の楽天は辰己涼介、小郷裕哉が打撃不振でファーム降格、投手陣も則本昂大が安定感を欠き抑えから中継ぎに回るなど誤算が相次いだ。浅村栄斗は通算2000安打を達成したが、打撃の状態が上がらず連続試合出場記録が1346でストップ。替えが利かない存在だけに復調が待たれる。交流戦は15年以降に負け越しが1度しかなく、昨年は13勝5敗で球団史上初の優勝を飾った。リーグトップの打率.331をマークしている村林一輝、ドラフト1位の宗山塁を中心に若手が躍動して上昇気流に乗りたい。
パ6位のロッテは5月に6勝17敗と大きく負け越し。借金が14までふくれあがっているが、交流戦の戦い次第ではまだまだ取り返せる。近年は振るわないが、交流戦初年度の05年から2年連続優勝で「交流戦のロッテ」と称されたことも。高卒2年目の寺地隆成、3勝をマークしている20歳右腕の田中晴也、セットアッパーで1セーブ4ホールドを挙げ、6月1日に20歳の誕生日を迎えた木村優人と伸び盛りの若手が多い。打率1割台のネフタリ・ソト、グレゴリー・ポランコの復調がカギを握りそうだ。
【文責:週刊ベースボール】