【記録員コラム】投手のプロ最終打席
2026年の公式戦もいよいよ最終盤を迎えています。チームの順位争いはもちろんのこと、個人のタイトル争いもどうなるか気になるところです。
さて、既にご存知の方も多いと思いますが、セントラル・リーグは2027年シーズンから指名打者制を採用することが決定しています。
「セントラル・リーグ 2027年シーズンからの指名打者制(DH制)採用決定」のお知らせ
ということは、投手が打席に立つことは基本的には今シーズンで最後となります。(MLBで二刀流として活躍している大谷翔平選手もいますが。)つまり、今シーズン終了までの試合において投手が打席に立った時、それはその投手にとってプロ最終打席になるかもしれません。かもしれない、というのは、投手であれプロ初打席は誰にでも明確ですが、最終打席はその日の投球回数や試合日程によって左右される為、全日程が終わってみないとわからないからです。現時点での先発ローテーション投手であっても、結果的には既にプロ最終打席を終えている選手もいるかもしれません。ですので、今シーズン終了まで、投手が打席に立った際は、「9人野球」の歴史を見届けるという目で記憶してもらえたらと思います。
私としては、今シーズン限りでの引退を発表した石川雅規投手(東京ヤクルト)が持つ24年連続安打(プロ1年目からの24年連続は投手として最長記録)であったり、ちょうどこのコラムを書こうと思っていた9月14日、投げては9回無失点勝利、打っては甲子園球場バックスクリーンへの本塁打を含む2安打4打点を記録したマラー投手(中日)であったり、投手の打席への興味は尽きません。
一方で、試合展開によっては最初からバットを振る気もなく三振したと見える投手の打席もありました。そんな中、私がとても印象に残っている投手の姿があります。それは、「9人野球」最終年として迎えた今シーズンの開幕カード3戦目、3月29日の広島-中日3回戦(マツダスタジアム)、3回表の髙橋宏斗投手(中日)の打席です。得点は0-0で二死無走者、打席の髙橋宏投手が打った打球は二塁手正面へのゴロでした。どう見ても余裕で一塁アウトになるような平凡な打球でしたが、一塁ベースを全力疾走で駆け抜けました。結果はもちろんアウトでした。それでも、これこそセ・リーグが継承してきた野球発祥時からの「9人野球」のあるべき姿であると強く感じました。
様々なドラマを生んできたセ・リーグの「9人野球」が見られるのもあとわずかですが、指名打者制の採用によって今オフシーズンのドラフトや補強にどのような変化があるのか、パ・リーグの圧勝が続いているセ・パ交流戦の展望は変わるのか、といった新たな興味が尽きることはありません。その前に、投手の「プロ最終になるかもしれない打席」を見届けたいと思います。
【NPB公式記録員 伊藤亮】
