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【コラム】優勝決定試合で勝利投手のソフトバンク・松本晴、キャリアハイ11勝でリーグ3連覇の立役者の1人に

 大きな期待に、ベストな結果で応えた。優勝へのマジックナンバーを「2」として迎えた9月17日のオリックス戦(京セラD大阪)、他会場で行われた2位・西武の結果次第ではあったが、勝てば優勝の可能性もある重要な試合の先発マウンドを託されたのは、ソフトバンク入団4年目の松本晴だった。

 今季ここまでにキャリアで初めて2ケタ10勝に到達していた左腕は、5回まで毎回走者を背負ったものの、要所を締める粘りの投球を披露。2回、先頭の紅林弘太郎に先制のソロ本塁打を許すも、5回6安打1失点でまとめた。すると、6回表に味方打線がオリックス投手陣に襲い掛かり、一挙4得点で逆転に成功する。80球を投じていた松本晴は、余力を残す形でリリーフ陣に後を託したが、バトンを継いだ鈴木豪太、ヘルナンデス、オスナが無失点リレー。攻撃陣がさらに3点を加点するなか、最後は杉山一樹が締め、他会場の西武が敗れていたことで3年連続22度目(他に一リーグ時代に2度)のリーグ優勝が決まった。

 優勝決定試合で大役を果たし、勝利投手となった松本晴は、「先制点を取られてしまいましたが、野手の皆さんが逆転してくれました」と味方に感謝する。今季11勝は、チーム内では前田悠伍の12勝に次ぐ勝ち星で、同じく11勝の大津亮介に並ぶもの。左腕を先発ローテーションの一角に据えた小久保裕紀監督は、優勝を決めた直後のインタビューで「昨年にない投手たち(前田悠、大津、松本晴など)が台頭したことが、優勝の要因」と、これからのチームを担う20代の投手たちの働きを称賛した。

 現在、最速153キロを誇るが、2023年にソフトバンク入団当初は140キロ前後が平均の“技巧派”だった。驚異の成長を遂げたのはプロ入り後。ルーキーイヤーに一軍で3試合の登板を経験し「このストレートじゃ通用しないと感じました。球速を上げなきゃいけない」と、「150キロ」を明確なターゲットに定めた。オフはアメリカのトレーニング施設『ドライブライン・ベースボール』に武者修行に出向いてピッチングのバイオメカニクスに触れ、その後は球速を上げるためのトレーニングに没頭したという。

 入団2年目の2024年は開幕直後のケガで復帰まで3カ月を要したが、実戦復帰2戦目となった四軍戦の九州アジアリーグ・宮崎サンシャインズ戦(タマスタ筑後)で150.4キロを記録。ついに覚醒の時を迎える。その後すぐに一軍昇格を果たし、8月18日のロッテ戦(みずほPayPay)で先発すると、5回無失点でプロ初勝利。同年は一軍で2勝をマークし、日本シリーズにも登板するなど飛躍の足掛かりを築くシーズンとなった。

 昨季(2025年)はチームの中継ぎ左腕不足の事情からリリーフでシーズンを迎えるも、開幕12戦連続無失点の快投を見せ、自らの手で先発のチャンスを手繰り寄せる。5月下旬からはローテーショに定着すると、最終的に15試合に先発し6勝をマークしている。今季は2年連続最多勝の有原航平が日本ハムに移籍。その穴を埋める存在として開幕から大きな期待を受けて先発陣の一角を担うこととなったが、結果で信頼に応えた、といっていいだろう。

「ずっと野球のことばかり考えていられる」とさらなる成長に貪欲だ。8月に4試合登板で3勝を挙げて防御率1.44。9月は2戦2勝で防御率1.80とシーズン終盤にかけて高いパフォーマンスを維持。ペナントレースと同様に、クライマックスシリーズ、そして2年連続の日本一に向けても、25歳の左腕がカギを握ることになりそうだ。

【文責:週刊ベースボール】