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【記録員コラム】72万5760分の1

 試合開始の約5分前に、ホームプレート付近で審判員を交え両チーム監督が行なう公式打順表の交換は、見慣れた光景となりました。

 あの場所では公式打順表の「最終確認」を行なっています。実務的にはそれより40分ほど前、ビジターチームの打撃練習終了時に、両チームのマネジャーが予定公式打順表を控え室にいる審判員に4通提出をします。「予定」とは言え、提出後に選手が負傷または病気で出場不能とならない限り、この公式打順表の変更はできません。

 公式記録員も審判控え室に出向き、1通を受け取ります。メットライフドームで4月20日に行なわれた西武対ロッテ4回戦で、受け取った両チームの公式打順表を見ながら、思わず「惜しい」とつぶやきました。実際に提出された当日の公式打順表をご覧ください。何が「惜しい」か、わかりますか?

 ロッテの投手以外、19人が漢字表記…。間違いではありませんが、私の目に留まったのは打順と守備位置の関係です。一番打者から順に守備位置番号が8、6、4、3と両チームで一致し、異なるのは五番と七番のところ。すなわち、どちらかのチームが五番と七番の打者を入れ替えていたら「一番から九番まで、選手の守備位置が両チーム全て同じ」だったのです。

 両チームの打順と守備位置が全て一致する確率は、いくらになるのでしょうか。各チームが組み得る打順は、指名打者を使用できない試合では「9×8×7×6×5×4×3×2×1」の計算式で、36万2880通りになります。指名打者を使用できる試合では、その倍の72万5760通りになります。このことから、その確率は指名打者を使用できない試合では「36万2880分の1」、指名打者を使用できる試合では「72万5760分の1」となります。(野球の特性を全く考慮しない、あくまでも確率論です)

 机上の計算では約72万試合に1回しか出現しない“お宝打順表”。公式戦の通算試合数が6万を超えたばかりのNPBで、過去にあったのでしょうか。残念ながら、マニアック過ぎて?日本野球機構編集のオフィシャルベースボールガイドに、この項目はありません。

 しかし、公式記録員の先輩でもある宇佐美徹也さんが1993年に出版された「プロ野球記録大鑑」によると、1966年5月22日、札幌円山球場で行なわれた東京対東映戦のダブルヘッダー第1試合で、あったと記載されています。当時、この球場のスコアボードには選手名が出ず、守備位置番号だけがオーダー順に掲示されるだけだったので、両チーム「543789261」と並んだ数字に、スタンドのファンは「間違いでは?」と首をかしげたそうです。

 冒頭の西武対ロッテ戦では、翌日の5回戦でも7つの打順で守備位置が一致していました。今季、このカードは残り19試合あります。両チームの打順と守備位置が一致するレアケースに、お目にかかれるでしょうか。両チームのスターティングメンバーにも注目してください。

【NPB公式記録員 山本勉】