• セントラル・リーグ
  • 阪神タイガース
  • 広島東洋カープ
  • 横浜DeNAベイスターズ
  • 読売ジャイアンツ
  • 東京ヤクルトスワローズ
  • 中日ドラゴンズ
  • パシフィック・リーグ
  • オリックス・バファローズ
  • 千葉ロッテマリーンズ
  • 福岡ソフトバンクホークス
  • 東北楽天ゴールデンイーグルス
  • 埼玉西武ライオンズ
  • 北海道日本ハムファイターズ
  • 侍ジャパン

日本野球機構オフィシャルサイト

ニュース

NPBニュース

【コラム】球団史上初の快挙を成し遂げた 若干19歳の若トラ右腕

 プロ2年目、若干19歳の右腕が球団史上初の快挙を成し遂げた。5月27日の巨人戦(甲子園)に先発した阪神・才木浩人。初回、先頭の坂本勇人に二塁打を浴びたが、続く吉川尚輝の打席で飛び出した坂本勇を、冷静にプレートを外して三塁で刺して帳消しにした。その後は最速152キロのストレートを軸に、カーブやフォークで緩急を駆使して付け入るスキを与えない。ストレートのコントロールはアバウトで粗削りだが、力強さがある。巨人打線はバットに当ててもファウルになるばかりだった。

 初先発した20日の中日戦(ナゴヤドーム)では12安打を浴びて5失点。初黒星を喫したが、そこからしっかりと修正した。2回にはマギー、亀井善行、長野久義から三者三振を奪うなど、7奪三振。三塁を踏ませぬ圧巻のピッチングで6回を投げ、巨人打線を2安打無失点に抑え込み、うれしいプロ初勝利をマークした。10代投手が巨人戦でプロ初勝利を挙げるのは、球団史上初の出来事。伝統の一戦で、若トラがまばゆいばかりの輝きを放った。

 中学時代は無名だったが、須磨翔風高に入学直後、野球部の中尾修監督は「お前はプロに行かないと、野球の神様に申し訳ないよ」と声を掛けられたという。長いリーチを生かしたピッチングで、徐々にスカウトから注目を浴びるようになる。学級委員長を務め、練習でも自ら考えてこなすことができ、発言もしっかりした模範生。エースとして引っ張った3年夏は2回戦で報徳学園高に敗れたが、“公立の星”として名を馳せた右腕はドラフト3位で阪神に入団した。

 昨季10月5日、高卒ルーキーながら一軍昇格を果たし、中日戦(甲子園)の8回にデビュー。1安打されたが、1イニングを無失点に抑えた。同日の夜は興奮でなかなか寝付けず、翌日起きたのが昼12時過ぎだったというが、その甲子園で今度は勝利をもぎ取った。

 「好きな野球ができるプロ野球の世界に入って、毎日野球ができているので試合などで投げていてもすごく楽しい。僕はどちらかというと力で押して三振を奪うタイプの投手だと思っています。三振は結構好き。バッターが振ってきてバットに当たらないとヨッシャと思いますね。もちろん見逃して手が出ないというのも好き。将来は奪三振王なども狙える投手になりたいな、と思っています」

 才木の奮闘で阪神は5連勝をマークし、首位・広島と4ゲーム差の2位に浮上。29日から開幕の交流戦に向けて、これ以上ないはずみをつけた。才木は28日、登録を抹消されたが最短の10日でふたたび一軍に上がる予定。今度は、パ・リーグを相手に、若々しいピッチングを見せつける。

 【文責:週刊ベースボール】