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【コラム】ヤクルトが交流戦初の最高勝率球団に!大きかった小川泰弘の復活

 まさに粘りのピッチングだった。6月17日の日本ハム戦(札幌ドーム)。ヤクルト先発の小川泰弘は6回まで毎回の8安打を浴びる。3回裏には大田泰示に同点の適時打を中前へ運ばれたが、味方が2点を勝ち越した直後、6回裏に一死一、二塁のピンチを招くもアルシアを空振り三振、矢野謙次を左飛に打ち取り、得点を許さなかった。小川は6回1失点でマウンドを降りたが、リリーフの中尾輝、近藤一樹、石山泰稚がリードを守り切り、5対1で連敗を2でストップ。この勝利でヤクルトは日本生命セ・パ交流戦初の最高勝率球団に輝いた。

 「何としても絶対に勝つんだという気持ちでぶつかっていきました」と気迫を前面に押し出した小川。交流戦に入って3試合連続のクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)も達成した。安定感が際立つのは丁寧なピッチングを心掛けているからに他ならない。17日の日本ハム戦も被安打8はすべて単打。長打は1本もなく、四死球もゼロだった。ランナーを背負っても、慌てることなく、“大ケガ”をしないピッチング。コントロール良く変化球を制球し、打者を手玉に取る姿は非常に頼もしかった。昨年最下位に沈み、逆襲を誓うヤクルトにとって小川の存在は非常に大きい。

 チーム同様に小川も昨年は苦しんだ。5月下旬に左ワキ腹を負傷。左内腹斜筋の肉離れで約1カ月間、一軍から遠ざかった。二軍調整中、チーム事情によりリリーフ転向し、6月30日の阪神戦(甲子園)で初めて救援登板。秋吉亮の負傷で抑えに回ったが、初めて9回に登板した7月7日の広島戦(神宮)では、1イニング3被弾で一挙6失点、5点のリードを守れずに敗戦投手になってしまった。結局、4試合に救援登板したが、前半戦終了後に先発再転向。だが、9月16日の広島戦(マツダスタジアム)では、4回終了後に右ヒジ痛で降板。後日、疲労骨折が判明し、10月上旬に手術を受けた。

 右ヒジの疲労骨折は自身にとって初めての経験。「筋力も落ちますし、本当に元に戻るのかな」と不安はあったが、投げられない間はトレーニングに没頭した。特に例年以上に走り込み、下半身強化に努めた。メジャー・リーグで324勝をマークした伝説の大投手、ノーラン・ライアン(元レンジャーズほか)のように左ヒザを顔の近くまで上げて投げる小川。豪快な“ライアン投法”にも、あらためて磨きをかけた。

 そして迎えた新シーズン。5月13日のDeNA戦(横浜)に先発して一軍復帰を果たすと、27日の同カード(神宮)で昨年9月9日以来の勝利。「ここまで長かった」と喜びを噛み締めたが、すぐに「ここからがスタート」と前を見据えていた。

 交流戦直前、借金9でセ・リーグ最下位だったヤクルト。交流戦最高勝率に輝き、借金2の2位まで浮上した(6月17日現在)。22日からはリーグ戦再開。これまではケガ明けで球数に制限をかけながらのマウンドが続いた小川だが、徐々に“ブレーキ”を解除していく予定だ。背番号29が復活して厚みを増した投手陣と定評のある打撃陣。両輪がしっかりと機能しているヤクルトは、セ相手にも盤石の戦いを繰り広げそうだ。

 【文責:週刊ベースボール】