【記録員コラム】オールスターゲームを2倍楽しむために
2018年シーズンも早いもので7月に入り、気がつけばマイナビオールスターゲーム2018の開催が迫ってきました。今年は7月13日(金)に京セラドーム大阪、14日(土)にリブワーク藤崎台球場(熊本)での2試合が予定されています。公式記録員も球場へ行きスコアを記入するのはもちろんのこと、普段の公式戦とは切り分けて記録の整理作業を行います。
1951年に初めて開催されたオールスターゲームですが、昨年までの通算でセ・リーグ78勝、パ・リーグ82勝、11分けで、計171試合が開催されてきました。この歴史の中で、私なりに気になった記録、および、もしかしたらマイナビオールスターゲーム2018において誕生するかもしれない記録をいくつかピックアップして紹介させていただきます。
・ゲーム最多安打 5
ペタジーニ(セ) 2001年 第2戦(横浜)
・連続打数安打(シリーズ) 6
ペタジーニ(セ) 2001年 第2戦~第3戦(札幌ドーム)
1試合で5安打を記録したのは1度しかありません。さらにペタジーニ選手は5安打した次の第3戦でも初回に本塁打を放ち6打数連続安打となり、これはオールスター最多記録です(1四球を挟む)。こちらも1度のみです。
・サイクル安打
古田敦也(セ) 1992年 第2戦(千葉マリン)
サイクル安打を記録したのも1度のみです。古田選手は1番捕手で先発し、右越三塁打、中前安打、右越本塁打、右飛、中越二塁打の順で達成となりました。
・シリーズ最多三塁打 1
多数あり
同年のオールスターゲーム(2試合または3試合)で三塁打の最多記録は1であり、つまり2本記録すればオールスター史上初ということになります。
・満塁本塁打
榎本喜八(パ) 1963年 第2戦(東京)
大杉勝男(パ) 1967年 第3戦(大阪)
これは私も改めて調べていて意外でしたが、満塁本塁打は2本しか記録されていません。しかも前回は50年以上前のことであり、東京スタジアム、大阪スタヂアム共に現存していないので、今ある球場では満塁本塁打が出ていないということになります。
・無安打無得点
パ・リーグ 1971年 第1戦(西宮)
・ゲーム最多連続奪三振 9
江夏豊(セ) 1971年 第1戦(西宮)
どちらかと言えば打撃戦の印象が強いオールスターゲームですが、実は1度だけ、無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)がありました。なお、この試合ではセ・リーグ先発の江夏投手が、初回先頭打者から9者連続奪三振の離れ業を成し遂げました。9者連続奪三振を記録したのはこの1度のみです。
・三重殺(トリプルプレイ)
パ・リーグ 1964年 第3戦(大阪)
セ・リーグ 1982年 第3戦(大阪)
公式戦では年に1度あるかないかという三重殺ですが、オールスターゲームでは2度ありました。
以上、簡単ではありますが、オールスターゲームにまつわるいくつかの記録を紹介させていただきました。数々の名場面を生んできた華々しいオールスターゲームですが、その裏では地道に記録が積み上げられてきました。もし今年のマイナビオールスターゲーム2018において満塁本塁打が出たならば、それはオールスター史上3本目だと、周りの野球ファンの方に教えてあげてみてはいかがでしょうか。ほんの少し記録に興味を向けるだけで今までに以上に楽しめるかもしれません。
【NPB公式記録員 伊藤亮】