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【セCSファーストS回顧】阪神がDeNAとの接戦を制して5年ぶりにファイナルステージ進出

 セ・リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージが10月5日から横浜スタジアムで開催され、阪神が2勝1敗でDeNAを下し、ファイナルステージ進出を決めた。

 初戦は劇的な展開となった。初回、DeNA打線は阪神先発・西勇輝の立ち上がりを攻め、連打でチャンスを作ると筒香嘉智が右翼へ先制3ラン。ロペスにも安打を許した西は、宮﨑敏郎の打球が左足を直撃。一死も取れないままわずか12球で降板した。DeNAは5回裏にも打線がつながり、4点を追加して7対1。試合は決まったかに見えたのだが……。

 7回表、阪神は沈滞するムード打開を狙って矢野燿大監督が送り込んだ代打策が糸口となる。髙山俊と木浪聖也の代打2人で1点を返し、さらにチャンスを広げると北條史也がエスコバーから左越え3ランで2点差。勢いに乗るタイガース打線は8回にも木浪の適時打で1点差に迫り、二死二、三塁から再び北條が中堅の頭上を越える適時三塁打で逆転に成功。8対7と6点差をひっくり返す大逆転勝利を飾った。

 続く第2戦、先制点はまたしてもDeNA。初回にロペスの2ラン、3回裏には筒香が2試合連続アーチとなるソロで3点を挙げ、主導権を奪った。DeNA先発の濵口遥大は得意のチェンジアップが冴え、4回までに6奪三振の力投。阪神先発・青柳晃洋も3点は失ったもののスライダーとシュートを両サイドに投げ分け、味方の援護を待った。

 試合が動いたのは5回表。阪神は北條と福留孝介の適時打で2点を返し、6回表には今シリーズからリリーフに回っているDeNA3番手・今永昇太から上本博紀の適時打で同点とした。DeNAも直後に神里和毅の適時打で再び勝ち越し、中盤以降は1点を争う僅差の展開となり、両チームは早めの継投で勝利への執念を見せる。DeNAは右手骨折から復帰したパットンからエスコバーへとつなぎ、守護神・山﨑康晃を8回表から投入。阪神も守屋功輝、ガルシア、ドリスと連投のリリーバーをつぎ込んだ。

 ドラマは9回に待っていた。DeNAが1点リードの9回表二死、福留が2イニング目に突入した守護神・山﨑から右翼に同点アーチ。しかし、その裏、DeNAは一死一塁から代打の乙坂智が、岩崎優から値千金のサヨナラ2ランで勝負あり(6対4)。「チーム一体の勝利だ。乙坂はアンビリーバブルだったね!」とファイナルステージ進出に逆王手をかけたラミレス監督は興奮気味に語った。

 最終第3戦は小雨の降りしきる中、1点を争うシーソーゲームとなった。DeNAが平良拳太郎、阪神が髙橋遥人という若き両先発で試合がスタート。序盤は、両打線の拙攻もあり投手戦の様相となった。4回表には二死一、二塁の場面で阪神先発・髙橋遥の打順。ここで矢野監督が代打・鳥谷敬を送り勝負をかけた。するとDeNAも好投の平良をスパッと降板させ、第1戦で先発した石田健大をマウンドに送り、鳥谷には四球を与えるものの後続を抑え無失点で切り抜けた。

 だが、6回表に一死三塁から、DeNA3番手の国吉佑樹が痛恨の暴投で、阪神が先制する。一方、DeNAも7回裏に一死満塁のチャンスを作り、六番・伊藤光が、阪神の3番手・岩崎の内角高めの真っすぐを引っ張るも三塁ゴロ。誰もがゲッツー成立と思った瞬間に三塁手の北條が失策し、1点をもぎ取り同点に追いついた。

 しかし、8回表に阪神が追加点を奪う。一死後、髙山が死球で出塁すると、足のスペシャリスト・植田海が代走に。DeNA・エスコバーの初球に盗塁を決めると、暴投で植田は三塁に到達。ここで七番・梅野隆太郎がしぶとくセンターへ犠飛を放ち勝ち越しに成功した。その後、阪神は自慢の中継ぎ陣を惜しみなく投入。8回からマウンドに上がったクローザー・藤川球児が、雨脚の強くなる中9回裏も無失点でしのいで2対1で勝利。阪神は2014年以来5年ぶりのファイナルステージ進出へ。10月9日から巨人との対戦で3位からの下克上を狙う。

【文責=週刊ベースボール】