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【コラム】開幕直前!2020年セントラル・リーグ展望

強力打線の巨人、DeNA。阪神、広島は充実の投手陣が光る。
中日、ヤクルトも巻き返しへ虎視眈々

 昨季は原辰徳監督が復帰した巨人が5年ぶりのV奪回に成功したセ・リーグ。120試合制となった今季は2007年から開催されたクライマックスシリーズが中止となり、リーグ王者がそのまま日本シリーズへ進むことになる。注目の2020年ペナントレース、各球団の戦力を分析していこう。

 昨季の覇者・巨人は連覇と日本一がターゲットとなるが、最大の強みは坂本勇人を二番に据える攻撃的な打線で、三番・丸佳浩、四番・岡本和真と続く上位が強力。加えて今季は一番に吉川尚輝が復帰し、五番以降に勝負強い亀井善行、中島宏之、新外国人のパーラが座る。強打の捕手、大城卓三を含めて得点力は昨年を上回りそうだ。不安材料は先発陣。腰痛に苦しめられた菅野智之の復帰、過去2ケタ勝利2度の田口麗斗の先発復帰は頼もしいが、15勝を挙げた山口俊が移籍した穴は大きく、新外国人のサンチェスらも計算が立つわけではない。抑えのデラロサ、中継ぎの中川皓太ら質量ともに充実したリリーフ陣がどれだけカバーできるかがカギを握る。

 昨季2位のDeNAは主砲の筒香嘉智がMLBレイズへ移籍した。代わりに「キャプテン」と「四番・左翼」を受け継いだのは25歳の佐野恵太だ。持ち前の明るいキャラクターでチームをまとめ上げる。打線は筒香の穴を埋めるどころか、昨年より破壊力が増した印象だ。一番・梶谷隆幸から、ソト、新外国人のオースティン、佐野、ロペス、宮﨑敏郎が並ぶラインアップは迫力満点。強力打線で相手投手を圧倒するのが理想の試合展開だ。投手では中継ぎ、クローザーはある程度計算が立つ。不安なのが先発陣だ。先発ローテの一角として期待されていた上茶谷大河は、右ヒジ炎症で開幕は間に合わない。エース・今永昇太に続く、濵口遥大、平良拳太郎らがシーズンを通して試合をつくっていければ、優勝争いに加わることも十分に可能だろう。

 昨季、リーグワーストの102失策を犯した阪神が変貌を遂げようとしている。練習試合で強固な守備を披露。リーグ屈指の強力な投手陣に堅守が合わされば安定感のある試合運びができ、昨季3位からのジャンプアップが期待できる。もちろんリーグNo.1の中継ぎ陣は今季も盤石。先発陣も西勇輝を中心に青柳晃洋、岩貞祐太、秋山拓巳が安定し、同等の能力を持った先発はほかにも豊富にいる。打線では四番に入る予定の新助っ人・ボーアがカギを握る。練習試合では本塁打も飛び出したが、左腕にもろさを見せた。今後、どれくらい修正できるかか。昨季の盗塁王でチーム最多安打の近本光司は二番に入る。攻撃的な二番として機能するか、近本の出来も打線の行方を左右する。

 佐々岡真司新監督の下、2年ぶりのV奪回と日本一を目指す広島。充実の先発陣を前面に押し出した戦いで昨季4位の屈辱を晴らす。先発陣は大瀬良大地、K.ジョンソンの両輪に、床田寛樹、九里亜蓮、新人王候補の呼び声高い森下暢仁、今季から先発に挑戦する遠藤淳志と6枚がそろい、さらに過去にタイトルを獲得した実績のある野村祐輔や薮田和樹も控える。ブルペンは菊池保則、フランスア、新外国人のスコットで「勝利の方程式」を形成することになるか。鈴木誠也を大黒柱とする攻撃陣は、西川龍馬が三番打者に成長、新外国人のピレラの加入とメヒアの覚醒で厚みを増した。そこに伝統の機動力と守備力をうまく絡めていければVが見えてくるはずだ。

 昨季のチーム打率.263はリーグトップだった中日。打率10傑に4人を送り込んだ。しかし90本塁打はリーグ最少、563得点はリーグ5位。安打は出るもののチャンスに弱く、なかなか得点に結びつけられず5位に沈んだ。主砲・ビシエドを中心に今年は打線のつながりを重視したい。レギュラーがほぼ固定されているのは強みだが、控えとの差は大きく、故障者が出てくると層の薄さが露呈する。先発陣は大野雄大と柳裕也の左右エースを軸に梅津晃大、山本拓実ら若い選手が力をつけてきているものの、中継ぎから抑えにかけての試合終盤のリレーに不安が残る。過密日程の中、与田剛監督がどう投手陣をやりくりしていくか。また近年の課題である正捕手争いに、ルーキー・郡司裕也が加わったことも見ものだろう。

 苦しい戦いが予想されるのは間違いない。昨季、最下位のヤクルトはバレンティンがソフトバンクに移籍し、強力打線の攻撃力はマイナス。20歳の四番・村上宗隆への徹底マークも予想され、若き主砲がそれを打破できるかがポイントだ。昨季は12球団ワーストの防御率4.78と崩れた投手陣には、奥川恭伸をはじめ4人の新人が加入。イノーア、クックといった新外国人に、ソフトバンク育成から長谷川宙輝、楽天から今野龍太、捕手には経験豊富な嶋基宏が加わった。バッテリーを強化した今季、チームを新たに率いるのは守護神として90年代の黄金期を支えた高津臣吾監督だ。今年2月にこの世を去った名将・野村克也氏の薫陶を受けてきた新指揮官が「ID野球」の知識を生かし、どのようなタクトを振るうのか。下馬評は低いが、ダークホースとなってみせる。

【文責:週刊ベースボール】