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【コラム】プロ野球史上初の球団6000勝に導いた巨人のエース・菅野智之の熱闘

 3年連続6度目の開幕投手に決まった巨人のエース・菅野智之は、その決意を次のように語っていた。「この日の先発マウンドに上がれるのは12人だけ。周りから見れば120試合分の1試合かもしれませんが、良いスタートを切るのと、悪いスタートを切るのでは大きく違いますし、チームとしても大事な一戦。しっかりと背負って投げたいと思います」。

 6月19日、阪神戦(東京ドーム)。だがしかし、予定どおりに開幕マウンドに立った百戦錬磨の菅野であっても、例年とは異なる3カ月遅れのマウンドでは冷静さを保つのに必死だったという。「普段感じたことのないようなプレッシャーを前日から感じていました。正直こんなにプレッシャーを感じたのは初めてかなと」。相手先発の西勇輝に3回に先制本塁打を許し、5回には勝ち越しの適時二塁打を浴びた。らしくない一面を見せたのはその影響があったのかもしれない。それでも追加点を許さず、6回94球を投げ終えた時点で続投を志願。結局7回、107球を投げ抜き、6安打を浴びながら8奪三振、2失点と十二分に先発の責任を果たした。

 エースの姿に打線が奮起したのがその直後。7回裏、先頭の代打・石川慎吾が交代したばかりの左腕・岩崎優から右前打で出塁すると、一死二塁として昨季は菅野とジャイアンツ球場でリハビリをともにする機会も多かった一番・吉川尚輝が、逆転の2ランでエースに今季初勝利をもたらした。菅野はこれで開幕戦4勝目。別所毅彦、斎藤雅樹に並んで球団最多タイに立った。さらにチームは公式戦初勝利を挙げた1936年から84年かけてプロ野球史上初の通算6000勝に到達。「チームを鼓舞するようなピッチングをして、メモリアルな1勝を手にできれば最高」と誓っていた菅野は、その念願をかなえた。

 今季は120試合制と例年より23試合少ないペナントレースとなるが、菅野が目標を下方修正することはない。「20勝の目標を変えたくはありません。先発ローテーションの兼ね合いで何試合に登板することになるか分かりませんが、チームの連覇のために投げる中で目標をクリアしたい。昨年は何もタイトルを獲れなかったので、何かしら個人タイトルも獲りたいです」。

 開幕まで「強化と継続」をテーマにトレーニングを続けてきたが、重点的に取り組んできたのはフィジカル強化だ。試合数は減るが、今季はオールスターなどによる中断はなく、毎週6連戦が想定される。さらに、雨天順延があれば予備日に試合が組まれ連戦が延びる可能性もゼロではない。菅野は昨年、ケガもありプロ入り後、初めて規定投球回に到達することができなかった。1年間戦う難しさを痛感したが、今年はその過ちを繰り返さないようにフィジカル強化に力を注いだ。

 「今年はどんなにきつい連戦があっても、何が何でも“1年を通して投げ抜き、チームに貢献する”ということを自分に課している」

 強い覚悟を胸に2020シーズンに挑む菅野。それがチームの連覇につながるのは間違いない。

【文責:週刊ベースボール】