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【コラム】登板2戦目で球団36年ぶりの快挙達成!広島・大瀬良大地が歩む完璧なエースへの道

 今や風格たっぷりだ。先発完投――。球数に制限をかけ、最後まで投げ抜く先発が稀になった現在のプロ野球でマウンドを守り続けることにこだわるのが広島の大瀬良大地だ。「先発をやっている以上は最後まで投げたいと思っています」。6月26日の中日戦(ナゴヤドーム)も最速148キロの直球を軸に力投、4対1と3点リードで迎えた8回表は先頭での打席だったが、当然のごとく代打は送られなかった。9回裏は二死満塁と攻め立てられ、一発が出れば逆転サヨナラ負けのピンチに陥ったが、平田良介を三ゴロに仕留め132球の完投勝利。開幕投手が開幕戦から2試合連続完投勝利を挙げたのは、球団では1984年の北別府学以来、36年ぶりの快挙だった。今季ここまで、12球団を見回しても大瀬良以外には完投を成し遂げた投手はいないだけに、さらにその価値が上がるだろう。

 加えて大瀬良はバットでも魅せた。開幕のDeNA戦(横浜)では9回表にプロ初本塁打となる2ランを含む3打点をマーク。「たまたま振ったら当たったんですが、追加点になったので9回に楽な気持ちでマウンドに上がることができました」と笑顔を見せた。中日戦でも5回一死から中前打。ピレラの右前打で二塁へ進むと、続く菊池涼介の左前打で4点目のホームを踏んだ。この試合、6回にも再び中前打を放つなど2安打をマーク。通算打率は.571を誇っている。投手であっても打席で気を抜かない。投打で、背番号14のプレーは際立っている。

 2017年から3年連続2ケタ勝利。18年には最多勝、勝率第一位の2冠に輝いた。もはや広島のエースと誰もが認める存在になっているが、本人にその称号を手に入れたという考えはまったくない。それは「シーズンの最初に投げる開幕投手は、やはりチームのエースだという思いは強いですか」と問われたときの答えからも分かる。

 「僕の場合は、数字的にチーム内でそうなっているから1番目に投げさせてもらっているだけだと思っているので、まだまだ完全にエースになれたとは思っていません。やっぱり年間を通して、『大瀬良で行って負けたら仕方ない』と思ってもらえるようなところまで行けて初めてエースだと思うので。そのためには、今年は僕にとってすごく大きな年になると思いますし、もちろん開幕投手に選んでいただいたこともあるので、最初から最後まで、チームを引っ張っていけるような年にしたいと思います」

 おそらく大瀬良の頭の中には黒田博樹という先輩エースの姿が焼きついているのだろう。そのストイックな姿勢で、大瀬良にも「エース道」を示し、成長を促してチーム3連覇の礎を築いた黒田。16年の、25年ぶりの優勝は黒田の存在なくしてはなしえなかった。

 「理想はやっぱり、相手を圧倒するようなピッチングですね。相手を圧倒して、そしてとにかくチームが勝つような。ここぞというところで勝てるピッチャー、大事な場面で勝てるピッチャーになりたい。そういう思いが一番強いです」

 生半可ではなく、完璧なエースとなるために――。2020年、大瀬良は順調なスタートを切った。

【文責:週刊ベースボール】