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【コラム】驚異の勝負強さを誇る犬鷲の四番・浅村栄斗のバットが楽天を頂点に導く

 チームに勝利を呼び込む一撃を高々と打ち上げた。7月5日、ロッテ戦(楽天生命パーク)。1対1の同点で迎えた5回一死一、三塁で打席に楽天四番の浅村栄斗が入った。1ボール1ストライクから3球目、美馬学が投じた内角低めのボールゾーンへ落ちるフォークを右ヒザが地面につきそうになるまで折り曲げてとらえると、打球は左翼スタンドへ。昨季までの同僚・美馬に勝ち越し3ランを浴びせた。「体が自然に反応して自分自身もびっくりしました。もう1回打てと言われても難しい。それくらい反応で打ちましたね」。2試合連続の決勝弾となり、首位を走るチームを今季初の3連勝に導いた。

 7月5日現在、パ・リーグ3位の打率.351、同1位の7本塁打、22打点を誇る。得点圏打率も同3位の.500と勝負強さを兼ね備えるが、特に本塁打の内容が素晴らしい。7本中6本が決勝弾と価値ある本塁打を量産している。この試合では初回一死一、二塁、3回一死二塁で凡退。「1、2打席目にチャンスで打つことができなかった。3度目の正直じゃないですけど、絶対にランナーをかえすという気持ちで打席に入っていました」と燃えていたが、やられっぱなしで終わらない姿は頼もしい限りだ。

 西武から移籍1年目の昨季は主に三番で自己最多の33本塁打をマーク。だが、FA移籍1年目のプレッシャーもあってか、打率.263に終わった。全143試合に出場し、二塁手としては初めてゴールデン・グラブ賞も受賞したが、心からは喜べなかったという。「2割6分じゃダメ。とにかく3割ですね。3割を打てば、ホームランも打点も伸びる」。雪辱を期す今季は開幕から四番に座っている。「(三木肇監督からは)良いときも、悪いときも、どっしりと1年間やってほしいと言われました。自粛明けや練習試合の期間には、監督とは結構話をしていましたね。内容は言えないですけど(笑)」。

 四番としてこだわるのは打点だ。「西武でいったら山川(穂高)とか、たくさんホームランを打つバッターもいますけど、僕はそんなに数多くホームランは打てないですから、その中で何が一番いいかなと考えると、やはり四番やクリーンアップは打点が大事なので、そこはこだわってやりたいなと思っています」と言う。

 かつて楽天で監督を務めた故・野村克也氏は「エースや四番はほかの選手の鑑にならなければいけない」と常々口にしていたが、浅村にもチームの中心選手としての自覚が行動からにじみ出ている。1月の合同自主トレ以降、キャンプ中もオコエ瑠偉や内田靖人ら若手に積極的に助言。オコエも内田も「なぜ、浅村さんほどの人が、僕らにあそこまでしてくれるのか。本当にありがたいです」と声を合わせる。今や野手陣の精神的支柱でもある背番号3こそ、四番にふさわしい。

 「とにかく優勝して、首位打者、打点王を取りたいです」と決意をにじませる浅村。2013年以来、7年ぶりの歓喜を東北の地へもたらすために魂を込めてバットを振っていく。

【文責:週刊ベースボール】