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【コラム】父に教え込まれた強い直球、そして強い心。日本ハムのドライチ左腕・河野竜生がプロ初勝利

 4度目の登板でようやくプロ初勝利をつかみ取った。「何としても札幌ドームで勝ちたかった」。7月19日のロッテ戦に先発した日本ハムのドラフト1位左腕・河野竜生。有観客の札幌ドームで投げるのは初めてだったが、4222人の観客の前で懸命に腕を振った。プロ入り最速の147キロを計時した直球を軸に、カーブ、チェンジアップで緩急をつけて7回まで三塁を踏ませず2安打無失点とロッテ打線を翻弄。8回に2点を失って9回は公文克彦に託したが、126球を投げてチームを最下位から脱出させた。

 「(ウイニングボールは)ここまで成長させてくれた両親に渡したい」と、はにかんだ河野。父・幸政さんは小学生のころに河野も所属していた徳島県鳴門市にある林崎スポーツ少年団の監督を現在も務めている。竜生少年と“監督-選手”の間柄だったころを幸政さんはこう振り返る。「小さいときから野球一色の生活でした。左利きということもあり、投手をやろうと勧めましたね。小学生のときは帰宅してからの会話も野球の話。監督でもあり、父でもあったので、その日のプレーの反省点などを話し合っていました」。兄・祐斗さんも明大を経て現在は日立製作所で内野手としてプレーするなど、河野はまさに野球一家の環境で育った。

 父が投手に必要な要素として竜生少年に教え込んだのは「ストライクを取ることを意識し過ぎず、強いボールを投げろ」ということだった。河野自身もストレートを一番自信のある武器に挙げる。「やっぱりずっと磨いてきたので。左バッターはもちろん、右バッターにも強気に投げ込めるのが僕の武器だと思います」。父はプロ入り後も登板のたびに息子に連絡するという。4回3失点に終わった5日のソフトバンク戦(札幌ドーム)後には「内角直球はもっとスピンをかけて投げ切ったほうがいい」と指摘。「一番身近で、僕のことを一番知ってくれているので」と河野は感謝を忘れない。

 打者に立ち向かう姿勢も河野の魅力だ。「自分のストロングポイントはどこですか? と聞かれたりしますけど、僕の場合はやっぱり気持ちの強さの部分かなと思っています。マウンドでの立ち居振る舞いを含め、気持ちで負けてしまっては絶対に勝てないので。もちろん新人王だって誰にも渡したくないですし、自分が絶対に獲るんだというつもりでやっていきます。それに昔からお客さんが多かったり、注目されたほうが力を発揮できるタイプなので」と力強く語る。

 プロに必要な向上心もある。19日の試合に関してもプロ初勝利の喜びに浸るだけでなく、「一人で投げ切りたかった」と8回限りで降板したことを反省した。「課題はここ一番での制球力。まだまだ要所で甘いところがありますし、そこに関してはしっかりとした技術をプロのレベルの中でもまれて身につけていきたいです」。174センチとプロでは体が大きいほうではない。しかし、それをカバーして余りある“心”を河野は兼ね備えている。

 「これまでお世話になったすべての方たちも応援してくれているので、その期待に応えられるような活躍をしたいです」

 背番号28が北の大地で大きく羽ばたいていく。

【文責:週刊ベースボール】