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【コラム】責任感が増したヤクルト・小川泰弘が成し遂げた史上82人目のノーヒットノーラン

 最後は渾身のフォークボールだった。ヤクルトの背番号29が投じた1球に、DeNA・乙坂智のバットは空を切った。8月15日、横浜スタジアム。小川泰弘がプロ野球史上82人目、通算93度目のノーヒットノーランを達成した。ヤクルトでは2006年のガトームソン以来、14年ぶり8人目の快挙。マウンドでそっと拳を握り笑顔を見せた小川に、両手を突き上げた捕手の西田明央、ベンチからペットボトルを手にしたナインが駆け寄った。「今日はみんなで勝ち取った勝利。みんなに感謝したい」。小川は仲間とともに大記録達成の喜びに浸った。

 チームは5連敗中だった。「今日こそ止めたい」と強い決意を持ってマウンドに上がった。「やっぱり真っすぐあっての変化球。今日はあらためて原点に帰ることができました」と振り返るとおり、力強い直球を軸にDeNA打線を抑え込んだ。8回には味方のミスもあり、無死一、二塁のピンチを招く。しかし、嶺井博希を空振り三振、神里和毅を右飛、柴田竜拓を遊ゴロに仕留めてゼロで切り抜ける。心を乱すことなく、落ち着いてピンチに対した。

 昨季は2段モーションなど投球フォームで試行錯誤したが、今季は“ライアン投法”に戻した。もともと小川の名を広く知らしめたのは、そのニックネームである「ライアン」の由来となった、ダイナミックな投球フォームだ。きっかけは創価大3年の夏に1冊の本を読んだことにさかのぼる。それがメジャー・リーグで通算324勝を挙げ、歴代最多の通算5714奪三振をマークした大投手の著書『ノーラン・ライアンのピッチャーズ・バイブル』だった。「参考にしたのは、ほぼ全部ですね。なんといっても世界一のピッチャーですから」。投球フォームの連続写真を参考に、左ヒザを顔の近くまで上げるフォームに改造。テークバックではグッとタメを作り、真上から投げ下ろす自分なりの「ライアン投法」で駆け上がってきた。

 責任感も増している。昨季は26試合に登板するも5勝12敗、防御率4.57と苦しんだ。オフには石川雅規と自主トレを行い「常に向上心を持たれて貪欲に取り組まれていますし、自分ももっと向上しないといけないなと思わせてくれます」と刺激を受けた。だが、開幕投手も務めた石川が、7月15日に上半身のコンディション不良のため出場選手登録を抹消。「石川さんが柱の一人ですし、僕もそういう役割があると思うので果たすべき役割は大きいと思う。責任感は強く持ってやっていきたい」と言葉に力を込めた。

 8月16日現在、チーム防御率4.49はリーグ最低。先発に限れば同4.46で、イニング別失点では初回の失点が最も多い。高津臣吾監督も「しっかり立ち上がって、ゲームを作っていくという作業をできるようにならないと、チーム全体として苦しくなっていく」と口にするなど、先発陣の奮起がペナントを勝ち抜くカギだ。そこで先頭に立つべき男が小川だろう。開幕から9試合に先発し、5勝2敗でチームの勝ち頭。防御率は3.43と安定感を見せ、さらに大記録を成し遂げた右腕にかかる期待は大きい。

 「まだ実感は湧かないですけど、これからの投球にいい影響があると思う。今日の投球をきっかけにして、乗っていきたいです」

 8月17日現在、首位・巨人とは5.5ゲーム差の4位だが当然、優勝はあきらめていない。小川のピッチングがチームに勢いを与えていく。

【文責:週刊ベースボール】