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【コラム】“世界”超えを果たしたソフトバンク・周東佑京、自らの手でチームを日本シリーズ4連覇に導く!

 “世界の盗塁王”を超えた。10月29日のロッテ戦(PayPayドーム)、「一番・二塁」でスタメン出場したソフトバンクの周東佑京が初回、二塁内野安打で出塁。続く中村晃の1ストライクからの2球目に敢然とスタートを切るとバッテリーは外角へ外し気味だったが楽々と二塁を陥れた。「1打席目からヒットで出塁できたので、思い切ってスタートを切りました。先制点にもつながってくれましたし、成功できて良かったです」。今季48個目のスチールは12試合連続盗塁成功のプロ野球新記録に。「本当に達成できると思っていなかったです。フワフワしています」。前日の同カードで福本豊が持つ11試合連続に並んだが、あっという間に抜き去った。福本といえばプロ野球記録のシーズン106盗塁、通算1065盗塁を記録したレジェンド。「自分一人で達成できる記録ではない。後ろの打者の方々のおかげですし、感謝しています」。さらに翌日の西武戦(メットライフ)でも盗塁を成功させ、バート・キャンパネリス(アスレチックス)が持つメジャー・リーグ記録を超える13試合連続盗塁成功。24歳の若タカが“世界”の頂点へと駆け上がった。

 2018年、育成ドラフト2位で東農大北海道オホーツクからソフトバンクに入団。2年目の昨季、開幕直前に支配下昇格を勝ち取ると同年、チームトップの25盗塁をマーク。侍ジャパンにも選出され、『WBSC プレミア12』では世界を相手に大会トップの4盗塁を決めて世界一に貢献するなど、その快足ぶりが一躍、脚光を浴びた。さらなる高みを目指して、「盗塁王はプロに入る前からの目標。レギュラーにならないと取れない。内野手としてレギュラーを取りにいく」と誓った今季だったが、序盤は思うような走りができず、初盗塁はチームのシーズン31試合目だった。

 「最初のころは完璧を求め過ぎていたんですよね。スタートにしても、スピードにしても、スライディングにしても、全部を完璧にしようとしていました」。その意識を変えた。「極端に言えば『失敗してもいい!』というくらいの気持ちに。たとえスタートが遅れても、スピードに乗れなくても、スライディングをミスっても、セーフになればいいという感覚にしました」。スタメンでの出場機会も増やしていき、8月には出場した20試合で10盗塁と量産モードに突入。「去年よりいいスタートを切れる回数が増えてきた」と手応えをつかむと、9月は14盗塁、そして10月は球団の月間盗塁記録を更新する23盗塁を決めた。

 9月下旬からは一番にも定着。10月の月間打率は.306、同出塁率も.353と役割を見事に果たした。チームは10月に12連勝。27日のロッテ戦(PayPayドーム)に勝利して3年ぶりの優勝を飾ったが背番号23はその原動力に。周東の活躍をチームメートの栗原陵矢は「『一番・周東』は最強でしょう。これだけ足の使える選手が一番にいて、これだけ塁に出られたら相手チームとしては嫌だと思いますし、だから、後ろに控える僕たちからしたらすごく得点になりやすい。そういう部分も含めて最強!」と称賛する。

 「(盗塁王を)意識はしますけど、僕が1日1日、毎日塁に出て毎日走っていればイケるんじゃないかと思っています」と本人は控えめだが、11月1日現在、2位・西川遥輝に9個差をつけており、念願の盗塁王は確実。次なる目標は自分の力でチームを日本一に導くことだ。

 「昨年(の日本一)に関してはあまりうれしい思いはなくて、逆に悔しい思いしかない。うれしかったのはうれしかったんですけど、日本一に“乗っからせてもらった”だけかな、と思っています」

 周東の出塁が増えれば、攻撃力アップにつながる。日本シリーズ4連覇を成し遂げるため、ポストシーズンもグラウンドを疾走するだけだ。

【文責:週刊ベースボール】