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【パ・リーグCS展望】独走優勝&短期決戦強者のソフトバンクの高い壁、“自分たちの野球”でロッテは下克上をふたたび

 パ・リーグ王者として、セ・リーグを制した巨人との日本シリーズへ。クライマックスシリーズ(CS)はソフトバンクにとってレギュラーシーズン唯一負け越しを喫したロッテが相手だが、昨季の8勝17敗に対して今季は11勝12敗1分けと、ほぼ互角の戦い。特にシーズン終盤、10月からの直接対決は7勝2敗(PayPayドームでの6戦は5勝1敗)だっただけに、チームに苦手意識、嫌な雰囲気はまったくない。工藤公康監督も「(シーズン前半の)悪いときの負け方と(ロッテに)7連勝したときの勝ち方というのは同じではない。そこをもう一度、少しおぼろげなところをはっきりとしたものにする」と自信をのぞかせる。

 強みは投手陣だ。8回のモイネロ、9回の森唯斗と盤石過ぎるほど盤石な2人を要するリリーフ陣はもちろんのこと、シーズン後半から先発陣がしっかりと試合をつくれるようになった。10月の12連勝中も、先発投手に勝利がついた試合が11試合、防御率は1.10と安定感が光った。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に輝いた千賀滉大に、最多勝、勝率第一位の石川柊太、無冠に終わったが9勝2敗と高い勝率を誇った東浜巨。ほかにも、リーグ優勝決定試合の勝利投手となったベテラン・和田毅、後半戦はしっかりとローテを守り優勝に貢献した助っ人左腕のムーアと、コマはそろう。あとは誰をどの順番で起用するか。中継ぎ経験もある石川はロングリリーフに回す可能性が高いだろう。和田が対ロッテ戦3試合に登板し2勝0敗、防御率0.52とチームダントツの成績だけに、指揮官の起用法に注目したい。

 打線は対ロッテ戦打率.236とリーグ内で最も打てておらず、奪った得点も78とリーグ内で一番少ない。1点を争う攻防の中、鷹キラーの二木康太をはじめ相手先発陣が好投を見せるケースが多く、先に打ち崩せないと戦いが苦しくなる。主砲・柳田悠岐を中心に、序盤から積極的な攻めで相手バッテリーの隙をつき、得点を重ねていきたいところだ。試合数は少ないながらも対ロッテ戦打率.385をマークした長谷川勇也の勝負強さがカギを握る。

 昨季、クライマックスシリーズ・ファーストステージ第2戦からポストシーズン10連勝のソフトバンク。「短期決戦の鬼」と呼ばれる指揮官は、例年同様に冴え渡った采配を見せてくれることだろう。特に今季はリーグ優勝決定後の試合の中で、ポストシーズンに向けてのシミュレーションとも思える起用法も見られた。迎え撃つ準備は万端だ。

 3位から日本一を勝ち取った2010年の“下克上”の再現なるか──。シーズン最終盤に失速しながらも、西武とのCS争いを制して2位を死守したロッテ。一時は首位・ソフトバンクにゲーム差なしに迫りながら終わってみれば14ゲーム差と大差をつけられただけに、短期決戦でリベンジを期す。

 3勝先取の短期決戦。ソフトバンクは1勝のアドバンデージが与えられているだけに、日本シリーズ進出へは1敗しか許されない。ただ、今年はシーズン2、3位によるファーストステージはなく、ファイナルから。つまり、先発ローテーションの柱をつぎ込めるのは、大きなプラス材料だ。今季はソフトバンクに12勝11敗1分とパ5球団で唯一勝ち越しており、対ソフトバンクで美馬学が5勝1敗、防御率2.70、二木康太が3勝0敗、防御率3.20と好相性を誇っているだけに、投手陣に不安はない。

 あとは野手が奮起できるか。打線は束になって挑むしかない。荻野貴司、福田秀平らの機動力に小技を交え、安田尚憲、井上晴哉らが打点を挙げるのが理想だが、今季のチーム打率はリーグ最下位で3割打者不在。主砲・レアード、マーティンも故障で、それぞれ帰国しており、一発長打は多くは望めない。それでも、491四球はリーグトップ。ファウルで粘って四球を得て、足を絡めて得点機をうかがっていく。和田康士朗、岡大海ら、代走の“切り札”も控えており、強肩を誇るソフトバンクの捕手・甲斐拓也から、いかに盗塁を決められるかも大きなポイントになりそうだ。

 リードを奪えば、10月にハーマンが故障復帰し、より強固となった救援陣が試合を締める。6回・唐川侑己、7回・ハーマン、8回・澤村拓一、9回・益田直也の勝ち継投は、ソフトバンクにも引けを取らない布陣だ。勝機を見出すには、いかにロースコアに持ち込むか。先取点をもぎ取り、先発が5回まで試合を作って、勝ち継投へ──。独走Vを許したソフトバンクにリベンジを果たすため、自分たちの野球を展開し、下克上を成し遂げた2010年以来の日本シリーズ進出を目指す。

【文責:週刊ベースボール】