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【2020パ・リーグ回顧】10月以降に圧倒的な強さでソフトバンクが3年ぶりV、熾烈な2位争いを制したロッテがCSへ

 開幕当初こそなかなかエンジンがかからなかったソフトバンクだが、7月の月間打率.433を記録した主砲・柳田悠岐を中心に徐々に調子を上げていく。プロ6年目の栗原陵矢も、持ち前の勝負強い打撃で打線をけん引。投げては8回にL.モイネロ、9回に森唯斗が控える12球団屈指の安定感を誇るリリーフ陣に、先発陣もケガで開幕に出遅れていた千賀滉大の復帰を機にほかの選手たちもしっかりと試合をつくれるように落ち着いていった。投打ががっちりとかみ合ったのが10月だ。2位・ロッテにゲーム差ゼロと迫られながらも、そこから怒涛の12連勝で一気に差を広げ、10月27日に悲願の3年ぶりのリーグ優勝。その勢いは衰えることなく。クライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズも負けなし6連勝を飾り、パ・リーグでは史上初となる4年連続日本一を成し遂げた。

 ロッテは開幕2戦目から8連勝と開幕ダッシュに成功。チーム打率.235はリーグ最下位も、ファウルで粘って四球を得ると、足を絡めてワンチャンスをモノに。相次ぐ主力の離脱も、粘り強く戦い抜き、4年ぶりのCS進出を決めた。野手では支配下1年目の和田康士朗が台頭し、高卒3年目の安田尚憲が四番に定着。投手陣も故障明けの唐川侑己が奮闘して勝ち継投入り、巨人からトレード加入した澤村拓一も“8回の男”に君臨した。10月に主力が新型コロナウイルスに感染し、戦力ダウンを余儀なくされて一時3位転落も、11月5日からすべて逆転で3連勝。8日には西武との直接対決を制して2位を死守した。ソフトバンクとのCSは連敗で敗退も、2試合ともに安田の先制打で序盤はリードを奪って地力を見せた。来季こそ16年ぶりとなる悲願の優勝へ。その礎は築き上げた。

 リーグ3連覇に挑んだ西武だったが森友哉、山川穂高ら主力が軒並み不調に陥り、秋山翔吾が抜けた一番の穴も埋められなかった。看板の強力打線がリーグ5位のチーム打率.238、同4位の479得点と振るわず3位でフィニッシュ。チーム防御率も4.28で3年連続最下位と相変わらずチームの弱点だったが、それでも3位に食い込むことができたのはリリーフ陣のおかげだ。開幕当初は平良海馬、R.ギャレット、増田達至とつないでいたが、夏場を過ぎると不調のギャレットと入れ替わり森脇亮介が台頭。1点勝負を勝ち切る「勝利の方程式」を築いた。9月14日には2位・ロッテと最大9ゲーム差をつけられたが、シーズン最終盤に熾烈な2位争いを繰り広げるまで挽回。オフには国内FA権を取得して流出が懸念されたセーブ王の増田も残留したが、来季は攻撃陣を再整備してV奪回を狙う。

 4位に終わった楽天だが打線では主砲の浅村栄斗が32本塁打を放ち、自身初の本塁打王に輝き、ロッテからFA移籍の鈴木大地がチームトップの打率.295、オリックスから移籍のS.ロメロが24本塁打で脇を固めた。また、ドラフト1位ルーキーの小深田大翔もシーズン途中から「一番・遊撃」に定着。球団新人記録を塗り替える34本のマルチ安打をマークするなど、新風を吹き込んだ。投手陣では涌井秀章が11勝を挙げ史上初となる3球団(西武、ロッテ、楽天)での最多勝を獲得。だが、松井裕樹が先発に再転向したことで救援陣が弱体化した。中継ぎのチーム防御率4.34はリーグワーストで、12球団ワーストとなる32度の逆転負け。2年ぶりとなるBクラス転落の要因となった。

 投打のバランスを欠き昨年に続き5位、北海道移転後初となる2年連続Bクラスに沈んだ日本ハム。開幕から8月まではほぼ5割をキープしたが、シーズン後半に失速した。野手陣では打点王・中田翔、最高出塁率の近藤健介がベストナインに輝き、中田、大田泰示、西川遥輝がゴールデン・グラブ賞を獲得するなど主力選手は期待どおりの働きを見せたものの、若手の台頭が乏しかった。チーム打率.249はリーグ2位、得点圏打率リーグトップと打線は結果を残した一方、投手陣はチーム防御率4.02で強みだったリリーフ陣も精彩を欠き、チーム失策数リーグワーストとディフェンス面の課題が浮き彫りとなった。主力勢は高いレベルにあるだけに、チーム全体の底上げが浮上のカギだ。

 接戦には持ち込むものの勝負どころで得点を奪えず開幕直後から“勝負弱さ”を露呈したオリックス。大物助っ人と期待されたA.ジョーンズも機能せず、課題だった得点力不足を解消できなかった。8月20日時点で借金17となると、同日の試合後に西村徳文監督の辞任が発表され、翌21日の西武戦(京セラD大阪)から中嶋聡二軍監督が指揮を執ることに。明るさを前面に3連勝で再スタートを切ったが、以降も連敗を繰り返して10月29日に最下位が決定。西武、楽天に勝ち越しながらも、ソフトバンクに5勝17敗2分、ロッテに5勝18敗1分と大きく負け越し。2球団にシーズン借金23以上の25の負け越しが大きく響いた。ただ、大下誠一郎がプロ初打席初本塁打、3年目左腕の田嶋大樹がプロ初完封と若手の躍動は光明。2年連続の最下位に甘んじた今季は、来季をにらんだものになった。

【文責:週刊ベースボール】