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【コラム】開幕直前!2021年パシフィック・リーグ展望

ソフトバンク優位は揺るがない。他5球団がどれだけ食らいつくか

 今年のパ・リーグは、ヤンキースから古巣・楽天に8年ぶりの復帰を果たし、「不思議なつながりを感じる」と語る田中将大の投球が最大の話題となるだろう。ペナントレースは、リーグ2連覇と5年連続日本一が懸かるソフトバンクの優位が今シーズンも揺るぎなさそうな気配だ。

 両ふくらはぎの不調で出遅れていたソフトバンクの千賀滉大は、3月12日に行われた春季教育リーグの中日戦(タマスタ筑後)で、自身最速にあと2キロと迫る159キロをマーク。23日のウエスタン・オリックス戦(同)でも6回無安打無失点。日本球界のエースとしての健在ぶりをアピールした。さらに初の開幕投手を務める石川柊太、不惑の左腕・和田毅、先発に転向した高橋礼、10年目の武田翔太――と、質量とも他球団を圧倒。右肩の不調からの復帰を期す東浜巨らが加われば、先発陣は盤石だろう。打撃陣は、調整が遅れていた柳田悠岐、Y.グラシアルら主軸が状態を上げてきた。故障明けの今宮健太、ムードメーカーの松田宣浩も好調と、分厚い布陣で死角が見当たらない。

 昨年2位に終わったロッテは、.235と12球団ワーストのチーム打率をどれだけ引き上げられるかがポイント。機動力を絡めた緻密な攻撃を起点とし、安田尚憲、藤原恭大ら新鋭のレベルアップも上位争いの必要条件となる。投手陣では、下半身のコンディション不良で離脱した石川歩のできるだけ早い再合流が待たれる。開幕投手の二木康太、美馬学らに加え、ドラフト1位ルーキー鈴木昭汰、小島和哉、岩下大輝らが高いレベルで先発ローテーション入りを争うことが、チームの浮上につながる。佐々木朗希の2年目の成長も興味深い。

 西武は手薄な先発陣をどう立て直して戦うかに注目。昨年8勝8敗の髙橋光成に続く先発ローテの柱を早急に作り上げたい。先発に転向した平井克典、前カブスの新外国人M.ダーモディら未知の戦力に頼らざるを得ない状況で、今井達也、松本航、浜屋将太ら若手のチャンスが増える状況でもある。増田達至、平良海馬ら安定する救援陣を抱えるのはアドバンテージとなる。昨年はチーム打率がリーグ5位の.238と低迷。伝統の機動力を磨き、強打復活を図ることもチーム浮上の課題だ。

 楽天の背番号18を久しぶりに背負った田中将は、2011年の東日本大震災から10年という節目のシーズンで、自身を成長させてくれた懐かしいマウンドに立つ。バリバリのメジャー・リーガーは、どのような進化した投球を見せてくれるか。震災で甚大な被害を受けた仙台から、新型コロナウイルスと闘うすべての人たちにも、勇気と感動を与えてくれそうだ。その田中将をはじめ、涌井秀章、則本昂大、岸孝之と実績のある名前が先発陣に並ぶ。ドラフト1位左腕の早川隆久の評判も高く、強固な先発陣を前面に戦っていく。田中将を呼び戻すなど、フロントとして柔軟な発想で辣腕を振るった石井一久監督のグラウンドでのタクトさばきも楽しみだ。

 2年連続5位に沈んだ日本ハムは、メジャー挑戦の有原航平の穴を埋めるという投手陣の課題もあるが、攻撃陣は悪くない。切り込み隊長を務める西川遥輝のチーム残留が心強い。昨年はリーグワーストの89本塁打と破壊力不足に泣いたが、上位打線が3度目の打点王に輝いた四番・中田翔、新外国人のR.ロドリゲスらと得点パターンを形成できれば、5年ぶりのリーグ制覇と日本一も視界に入ってくる。上位に食い込むためには、栗山英樹監督の辛抱強い起用が続く清宮幸太郎、野村佑希ら若手の成長も不可欠だ。

 中嶋聡監督が指揮を執るオリックスは、球界屈指の実力を誇る山本由伸と山岡泰輔の二枚看板がチーム浮沈のカギを握る。カーブを磨いて緩急を覚えた山本が、さらに上のレベルに到達できるか。山岡はケガで長期離脱した昨年と同じ轍を踏まなければ、2年連続最下位に泣いたチームは一転して上位と争える。首位打者の吉田正尚、A.ジョーンズ、S.モヤら強打者を擁するだけに、投打がかみ合えば優勝争いも決して夢ではない。

【文責:週刊ベースボール】