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【コラム】史上初の育成出身“開幕投手勝利”も通過点、ソフトバンク・石川柊太は前だけを見据える

 堂々たるピッチングだった。3月26日、ロッテ戦(PayPayドーム)。日本シリーズ4連覇中と無敵を誇るソフトバンクの開幕マウンドに上がったのは今年で30歳を迎える石川柊太だった。自身初の大役。戦前、「誰かをマークするとかではなく、一人ひとり、1球1球、“抑えてやる”という気持ちで投げたい。タフな戦いになると思うので、厳しく投げていければいいですね」と気合を入れていたが、そのとおり持ち味を存分に出した。

 初回、三者凡退と上々の立ち上がりを見せると、3回まで一人のランナーも出さないパーフェクトピッチング。140キロ台後半のストレートと得意のパワーカーブのコンビネーションが抜群だった。4回には無死二塁、5回には一死満塁のピンチを背負うが後続を断って得点を許さない。6回は一死からマーティンにソロ本塁打を浴び、1対3。さらに二死満塁と攻め立てられたが、田村龍弘を3球勝負の空振り三振に斬って取り、追加点を与えなかった。ベンチに帰ると工藤公康監督、森山良二投手コーチ、甲斐拓也捕手が石川を囲んだ。

 「工藤監督にはひと言、『代えないよ』と言われました。結構いっぱいいっぱいなところもあったんですけど、ここでもう1回、どういったピッチングをしていくか考えられたら、シーズン通してイニングを稼ぐことができるかな、と。昨年の自分だったら7対3ぐらいで『代えてほしい』という気持ちのほうが上回っていたんですけど(笑)。今季は規定投球回も目指していますしね」

 7回は先頭の藤原恭大を左飛に打ち取ると、続く荻野貴司、菅野剛士は連続三振に仕留めた。「この回は一つ、違うスタイルを出したイニングでもあったんです。ほんの少し変わっただけでも、バッターに嫌な印象を与えることができますよね」。普段から試合の中で状況に応じて新しい引き出しを使い抑えていくことは、昨年からもやっていたことなのだという。7回をきっちり締めてリリーフ陣に託した石川。7回5安打1失点と見事な投球で8対2の勝利に貢献したが、開幕投手勝利は育成出身選手で初の快挙だ。同じく育成出身の千賀滉大は2018、19年に開幕投手を務めていたが、勝敗はついていなかった。

 だが、石川の中で開幕投手勝利も、すでに通過点となっている。「ホッとしていると同時に、次の戦いに備えなくてはいけないという思いがあります」。常に前を見据える。それは石川の哲学だ。昨季、最多勝&勝率第一位投手と初のタイトルに輝いているが、心持ちは同じだった。

 「昨年の土台から、どこまでプラスアルファを積み上げられるか。やっぱり、“昨年と同じことをやっていても抑えられる”という考えだと、後退してしまうので。工藤監督もよくおっしゃっていますし、チームのスローガン『鷹く!』にも、その思いが込められています。昨年より、さらに良くしていこう、こうしたらもっと良くなるんじゃないかと、日々工夫しながらやっていきたいです」

 背番号29は今季も高く、高く、羽ばたくことだけを考えている。

【文責:週刊ベースボール】