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【コラム】「自分の記録に関しての目標はない」、中日・福留孝介が誓う古巣への恩返し

 「目標でした。泣きそうです」

 14年ぶりの古巣復帰で初となる本拠地でのお立ち台。中日・福留孝介はそう冗談めかしたが、実は本心だったのかもしれない。

 4月17日の広島戦(バンテリンドーム)、「三番・右翼」で3試合ぶりにスタメン復帰を果たした福留。中日での「三番・右翼」は2007年7月15日の阪神戦(甲子園)以来だ。この大役に今年で44歳のベテランは燃えた。4回一死二塁で九里亜蓮の内角低めのカーブを巧みにとらえると、打球は右翼線で弾む決勝の先制適時二塁打。二塁ベース上で思わずガッツポーズが飛び出したが、心に期するものがあった。チームは前日までの18試合で12球団ワーストの42得点と打撃不振に。「どうしてもチャンスで小さくなってしまって、点が取れなかったと感じていた」。だから、この打席ではカウント2-1から積極的にスイング。8回の中前打もファーストストライクの直球をたたいて生み出したものだった。

 連敗を4で止める5対0の快勝を演出した福留に、与田剛監督は「よく期待に応えてくれました」と最敬礼。福留は翌日の同カードでも「三番・右翼」でスタメン出場すると初回、大記録を達成した。カウント1-1から高橋昂也の真ん中直球を強くとらえた打球は右翼フェンスを直撃する史上13人目の400二塁打に。43歳11カ月での達成は史上最年長記録だったが「長くやらせていただいて、こうした記録が達成できて良かったです。また1本でも多く打てるように、これからも頑張ります」と、さらなる奮起を誓った。

 逆指名のドラフト1位で福留が中日に入団したのは1999年だ。1年目から優勝の美酒を味わい、落合博満政権下でも主力打者として2004年、06年と2度の優勝を経験した。07年を最後にメジャー・リーグへ挑戦。しかし13年、日本球界復帰を果たした球団は阪神だった。縦ジマのユニフォームに8年間袖を通したが、昨年限りで戦力外通告。しかし、現役への思いが消えることはなかった。

 「やっぱり昨年、自分の中で消化不良だった部分がありましたから。ずっと野球一筋の生活を続けてきて、コロナ禍という特別なシーズンで結果が出ず、このまま現役を終えてしまうのは、どうにも納得できない部分がありました。まだ動けるし、走れましたから。足が動くうちは大丈夫かな、と。打撃もそうですけど、守備や走塁面でもまだまだやれる。そう思えるうちはあきらめたくない。自分から引退を考えたことは一度もなかったです」

 43歳の現役最年長選手に手を差し伸べたのは、古巣だった。チャンスを与えてくれたチームのために恩返しをしたい気持ちがあるのは言うまでもない。4月19日現在で日本通算1915安打。2000安打も近付いているが、「それも頑張れる要因、目安の一つかもしれませんが、自分の記録に関しての目標はないです」と言い切る。とにかくチームの勝利のために、どれだけ貢献できるか。そのために、自分が何をできるか。福留はそれだけを考えている。

【文責:週刊ベースボール】