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【コラム】「ただいま!」熟練の投球術を見せて、2755日ぶりのNPB勝利を挙げた楽天・田中将大

 「ただいま!」

 試合後のお立ち台で楽天・田中将大は東北のファンに声を上げた。4月24日の西武戦(楽天生命パーク)に先発し、6回3安打1失点で今季初勝利をマーク。メジャー・リーグから日本球界に復帰した田中将だが、レギュラーシーズンでの勝利は2013年10月8日のオリックス戦(Kスタ宮城)以来、2755日ぶり。177試合目の通算100勝到達は、スタルヒン(巨人)の165試合に次ぎ、1948年の藤本英雄(巨人)と並ぶ歴代2位のスピード記録だ。

 「やはり99勝でアメリカのほうへ行ったので、あと1勝すればというのはもちろん分かっていました。でも間が7年空いていたので、あまり実感がない。それよりも今シーズン初勝利を挙げられた、チームが勝った、そこの喜びが大きいです」

 紆余曲折を経た白星だった。オープン戦は3試合に登板し2勝1敗、防御率2.25。その1球1球に迫力があり、メジャーよりも柔らかいとされる日本のマウンドにも順応しているように見えた。しかし、3月25日。ブルペンで38球を投じるなどの練習を終えると、右ふくらはぎ付近に違和感を覚えて仙台市内の病院へ。右ヒラメ筋損傷で試合復帰には3週間を要する見込みと診断され、開幕2戦目の27日に予定されていた先発は回避された。

 田中将は「登板を楽しみにしてくれていたファンの皆様には大変申し訳なく思っています。僕自身も初登板の日を楽しみにしていたので、とてもがっかりしています。幸いにもケガの程度は軽傷です。一日でも早くマウンドでの姿をお見せできるようにしっかりと治します」と球団を通じて無念さが表れたコメントを発表。その後、リハビリは順調に進み、4月17日の日本ハム戦(東京ドーム)で今季初登板を果たしたが、5回4安打3失点で敗戦投手に。自身のレギュラーシーズンでの連勝は「28」でストップしていた。

 もう無様な姿は見せられない。2試合目の先発となった24日の西武戦では変化球中心のピッチング。メジャー通算78勝の経験を生かした投球術で西武打線を抑えにかかった。特に冴え渡ったのが3回だ。先頭のスパンジェンバーグに死球で出塁を許し、すかさず二盗を決められ、無死二塁。呉念庭にライトへ適時打を浴び、1対2と1点差に迫られた。続く山田遥楓は犠打で一死二塁。若林楽人は右飛に打ち取ったが、源田壮亮は遊撃内野安打で二死一、三塁とピンチは続いた。

 ここで打席に迎えたのは森友哉。しかし、田中将は冷静だった。積極的にスイングしてくる森の打撃スタイルを逆手に取り、初球、真ん中低めへストライクからわずかにボールとなるスプリットを投じた。案の定、バットを振った森だったが、沈む球を引っ掛けて二ゴロ。田中将は見事にピンチを脱した。4回以降は1人の走者も許さず、6回68球の省エネ投球で、チームは2対1の辛勝。「試合後、スタンドにたくさんの僕のタオルが見えた」と笑顔を浮かべた田中将。13年に24勝無敗で楽天を頂点に押し上げた背番号18が、再び東北の地に歓喜をもたらすピッチングを続けていく。

【文責:週刊ベースボール】