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【コラム】自力V消滅の危機を救った中日の右腕エース・柳裕也、精度の高い変化球が好調の要因

 負ければ自力V消滅の危機に、右腕エースが踏ん張った。「1点もやらない気持ちで投げました」。7月8日の巨人戦(東京ドーム)。先発した中日・柳裕也は丁寧に低めを突き、巨人打線に思うようなバッティングをさせない。4回には三番・丸佳浩をスライダーで、四番・岡本和真をチェンジアップで空振り三振。さらに五番・ウィーラーをカットボールで見逃し三振に仕留め、クリーンアップを3者連続三振と圧巻のピッチングを披露した。その後も柳は三塁を踏ませぬ力投を見せ、8回4安打無失点で3回に味方が挙げた1点を守り、R.マルティネスへ継投。9回は助っ人クローザーがゼロに抑え、1対0で中日は逃げ切ったが、柳の堂々たるピッチングが勝利のすべてだった。

 心の中に並々ならぬ闘志が燃えたぎっていた。火をつけたのは偉大なるレジェンドだ。7月7日、日米通算170勝を挙げた西武・松坂大輔が今季限りでユニフォームを脱ぐことを表明していた。松坂は柳にとって横浜高の先輩で、2018年から2年間、中日でチームメートとして過ごした仲だ。引退発表前に松坂から連絡を受けていたという柳は「いいピッチングを見せたいという気持ちは持っていました」と振り返った。しかし、「松坂さんが築いてこられたことに対して、僕はコメントできるまでの選手ではないです。その偉大さを知っていますから」とそれ以上、言及を避けたところに松坂に対する思いの深さがうかがい知れた。

 今季で5年目を迎えた柳。3年目の19年に11勝をマークしたが、今季は一皮むけたピッチングを見せている。7月12日現在、15試合に登板し、7勝4敗、防御率2.50、クオリティースタートは11試合と安定感は抜群だ。さらに目を引くのが奪三振。リーグで唯一3ケタの103三振を奪い、トップを快走している。ストレートは平均142キロと驚くべき球速ではない。奪三振マシーンと化している大きな要因は、精度の高い変化球を持っているからだ。

 「一番軸となっているのはカットボールですかね。それに今季、もう一つ挙げるならチェンジアップ系のシンカー。このボールは昨年の春季キャンプで阿波野さん(秀幸投手コーチ)に教えてもらいました。これを操れるようになったのも好調の要因の一つです。僕の場合、150キロのストレートが投げられるわけではないですから。いろんな変化球を使って勝負していくしかありません。カーブ、スライダー、カットボールと3種類の曲がり球の中でも緩急をつけ、インコースとアウトコースに投げ分け、打者のタイミングを微妙にずらしていく。そこにチェンジアップ系のシンカーが加わったのは大きいと思います」

 さらに今年はマウンド上でプラス思考になったことも好投を呼んでいるという。

 「例えば高めに強い打者と対戦するとき、これまでなら『高めに投げてはいけない』という意識で投げていましたけど、それを『低めに投げるぞ』と。そう考えることで体も、気持ちも、前向きになれますから」

 1位とは2勝差と最多勝も十分、視界に入る。現在4位の中日が浮上していくためには、柳がタイトルに絡むピッチングをすることが必要不可欠。そのピッチングからは今後も目が離せない。

【文責:週刊ベースボール】