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【コラム】レベルの高い投手陣を中心に「結束」してつかみ取る金メダル

 実績、経験、今の状態、そして、どれだけ日の丸への思いが強いか。辞退者も出た中、稲葉篤紀監督は信頼を寄せる東京五輪の日本代表24選手を選び、悲願の金メダル獲得に向けた戦いに挑む。7月19日、仙台市で行われた強化合宿の初日。ミーティングで「そう簡単に金メダルは取れないと思う。ここにいるみんなが結束して、一つになって戦っていきたい」と熱く、選手に訴えた。

 過去の国際大会、稲葉監督が率いて初優勝を飾った2019年秋の「プレミア12」を振り返っても、日本の最大の強みはレベルの高い投手陣。今大会もコンディション不良で菅野智之、故障で中川皓太(ともに巨人)が辞退したが、人材は豊富だ。

 先発の柱は、今や球界屈指の安定感を誇る山本由伸(オリックス)。当初はセットアッパーとしての起用も考えられていたが、菅野の辞退や、今の充実ぶりを加味して再考。7月28日にドミニカ共和国と戦う開幕戦先発の大役を任された。勝ち進めば、メダル獲得を懸けた8月4日か5日の準決勝にも登板可能。エースとして、重要視される試合で勝利に導けるか。続くのが森下暢仁(広島)。2年目だが、高い制球力、緩急を使った投球など先発としての必要な能力を兼ね備え、侍の首脳陣の評価は高い。2戦目の7月31日のメキシコ戦を経て、8月7日の決勝戦での登板も視野に入る。さらに、北京大会も経験し、精神的支柱の田中将大(楽天)や、大野雄大(中日)が先発を固める。

 第2先発を兼ねた中継ぎとして重宝されそうなのが、青柳晃洋(阪神)。これまでの国際大会でも渡辺俊介(ロッテ)らアンダースローがクローズアップされ、今回は青柳がその役割を担う。変則の投球フォームから、手元でわずかに動く「クセ球」で、勝負どころで流れを変える投球が期待される。中継ぎの左腕が岩崎優(阪神)だけで少し偏った編成になったが、稲葉監督に不安の色はない。千賀滉大(ソフトバンク)や伊藤大海(日本ハム)ら、左右の打者問わずに高い奪三振率を誇る2投手を救援で起用。抑えは固定せずに大会に臨むが、前半戦で39試合連続無失点の平良海馬(西武)、22試合連続無失点の栗林良吏(広島)が有力候補だ。

 野手は「プレミア12」のメンバーを土台に、昨季から急成長を見せている村上宗隆(ヤクルト)や、柳田悠岐(ソフトバンク)が加わった。打順は相手投手の左右、調子などを見極めながら日替わりで組み、四番も現状では固定しない方針。「プレミア12」で活躍した鈴木誠也(広島)や村上らが主軸を務めていく。

 守備の要は坂本勇人(巨人)と菊池涼介(広島)の国際経験も豊富な二遊間で、2人で野手陣をまとめていく。捕手は甲斐拓也(ソフトバンク)と梅野隆太郎(阪神)の併用で、投手との相性を考えながら先発マスクをかぶる。懸念は右ワキ腹の違和感から強化合宿で一部、別メニューでの調整が続いた柳田の状態。本職が中堅の選手は柳田だけ。25日の強化試合第2戦(対巨人)に六番・センターでスタメン出場を果たしたが、守備面でも影響は大きいだけに、万全を強調する本人の言葉を信じたい。

 五輪は6カ国と少ないチームで金メダルを争うが、稲葉監督は「各国見ても、いい選手がそろっている」と警戒。初戦のドミニカ共和国はメルセデス、サンチェスと巨人でプレーする2投手がおり、日本も手を焼きそう。打線ではメジャー通算344本塁打のバティスタ、同1962安打のカブレラがいる。全盛期は過ぎているが、力は十分。大リーグ通算317本塁打をマークしているA.ゴンザレスがいる2戦目のメキシコも含め、破壊力を秘めている。

 グループステージは別の組となったが、最大のライバル韓国は世代交代が進み、若手が中心。元中日の李鍾範氏を父に持ち、俊足巧打の李政厚が注目だ。元阪神の呉昇桓も代表入りした。アメリカはマイナー選手が主体だが、随所に力のある選手をそろえる。前半戦の終盤に絶好調だったオースティン(DeNA)は脅威だ。イスラエルはメジャー通算1999安打のキンズラーがいるが、総合力は、一枚、劣るか。

【文責:週刊ベースボール】