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【コラム】球団新人最多23号をマークした阪神・佐藤輝明、16年ぶりの優勝へ向け「1本でも多く打つ」

 虎の黄金ルーキーが歴史の扉を開いた。8月17日のDeNA戦(東京ドーム)。佐藤輝明が3回に21号本塁打を放ち、1946年大下弘(セネタース)の新人左打者で歴代最多20本塁打を超えた。続く6回には左中間席へ2打席連続弾。これで69年に田淵幸一(阪神)がマークした球団新人最多22本塁打に並んだ。そして、2日後の同カードだ。2点を追う9回、先頭で打席へ。相手守護神・三嶋一輝の前に1ボール2ストライクと追い込まれたが動じない。4球目の真ん中低め156キロの直球を巧みにとらえた打球は左翼席ギリギリに飛び込み、田淵の記録を抜き去る球団新人最多23本塁打となった。

 「追い込まれてからだったので、いろいろ頭に入れながらでしたけど、いい本塁打だったと思います。(田淵の記録を抜いて)しっかり自分のスイングをしてきた結果なので、すごくうれしい。でも、まだこれから積み重ねて、もっとホームランを打ちたいと思っています」

 開幕から猛打で球界の話題を独占してきた。横浜スタジアムでの場外弾、メットライフドームでの1試合3発……。23本塁打、59打点はチームトップだ。大山悠輔、サンズ、マルテら主軸以上の存在感を発揮して猛虎打線をけん引。長年、打線の決定力不足を指摘されてきたチームを変えた存在ともいえる。ただ、すさまじいフルスイングが代名詞だが、その代償として、すでに99年福留孝介(中日)の新人最多121三振を上回る131三振。143試合に換算すると200三振を超えるペースだ。

 「もちろん三振は減らしていきたいと思っています。当然ですが三振するのはイヤです。でも、その三振をイヤがって、少しでも数を減らすためにバットに当てにいくようなバッティングはしたくない、という思いは強いです。だから、これは難しいことですが、バットを振っていく中で、ボール球を見極められるようなバッティングが理想だと思っていますし、そこを目指しています」

 東京オリンピック開催によるペナントレース中断期間中に、グリップの握りを変えた。主に左手だが、それまでは親指+3本の指でバットを握っていたが、小指でもバットを握るようにしたのだ。「より確率よくとらえるために必要じゃないかと思って、試しています」。さらに、今まで以上に手元までボールを引き付ける意識を持つようにしている。「三振を減らすためにも、いかに長くボールを引き付けて見るか、も大切なことだと思っているので、続けています」。オールスターでスタープレーヤーに「数字などを気にしますか?」と質問したが、「まったく気にしていない」という答えが多かったことに驚いたという。それよりも、“準備”の大切を説かれたことに感銘を受けて参考にしようと考えているが、天井知らずの向上心は佐藤輝の大きな武器だ。

 「(本塁打に関しては)少なくはない、と思っています。でも一方で、自分の中ではもっと打てたんじゃないかな、という思いも強いですし、今でも日々もっと技術を磨かないといけないな、と思ってします」。次なるターゲットは59年桑田武(大洋)、86年清原和博(西武)が記録した新人最多31本塁打か。「もちろん、1本でも多く(ヒット、本塁打を)打っていくことが僕の仕事ですし、それがチームの勝ちにつながりますから。1つでも多く試合に勝つために、1本でも多く……です」。16年ぶりの優勝のために無心でフルスイングを貫いていく。

【文責:週刊ベースボール】