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【コラム】巨人を150日ぶりの首位に導いた左腕、逃げない投球が魅力の髙橋優貴

 巨人を首位奪取に導いたのは3年目左腕だった。8月29日の中日戦(バンテリンドーム)。先発した髙橋優貴は内外角を巧みに突きながら中日打線を抑え込む。打っても4回一死二塁で今季初安打となる適時二塁打を放ち、自らを援護。5回には二死満塁のピンチを迎え、代打・福田永将へ初球を投じると左足がつってベンチへ下がったが、首脳陣に続投を志願。再びマウンドに上がると、伝家の宝刀スクリューボールを3球連続で投げ込み、三直に仕留めた。髙橋は5回2安打無失点で降板したが、リリーフ陣がリードを保ち、7月11日の阪神戦(甲子園)以来の勝利をつかんだ。

 「痛かろうが、何があろうが、“この回だけは投げる”と思っていました。(9勝目から)長かったですね。やっと後半戦で勝てて、チームが勝てたことがうれしいです」と髙橋。3年目で初めて勝利数が2ケタに到達し、ハーラーダービートップの青柳晃洋(阪神)に並んだが、心にあるのはチームのことのみ。「タイトルを獲れたらいいですが、僕の目標は日本一になること。まずはリーグ優勝を果たして、日本一へ駆け上がって行きたいと思います」。同日のナイターで阪神が広島に敗れたため、巨人は4月1日以来、150日ぶりの首位に立ったが、背番号47は頼もしい存在だ。

 2019年、八戸学院大からドラフト1位で巨人に入団した髙橋。1年目は5勝をマークしたが、2年目の昨季はオープン戦で発症した左ヒジ痛の影響でリハビリが長引き、一軍復帰は後半戦に入ってから。期待されながらもわずか1勝にとどまり、その悔しさが原動力になった。さらに今季開幕前の出来事が「覚醒」のきっかけとなる。3月14日の阪神とのオープン戦(甲子園)。先発した髙橋は変化球でかわしながら5回1失点と試合をつくったが、原辰徳監督から「闘争心というか、自信が(なく映る)ね。先発ローテに入るのなら、まだほかに適任者がいるのではないか。秀でてはいない」と苦言を呈され、ファーム降格を宣告された。

 髙橋は指揮官のメッセージをしっかり受け止めた。「技術もだけど、気持ちの強さも大事」と強気の投球を心掛けるように。二軍戦での追試をクリアして、開幕先発ローテーションの6番手に滑り込む。すると開幕から5戦5勝、防御率1.80をマークし、3・4月度の月間MVPを獲得した。

 決して制球力が抜群というわけではない。47四球は濵口遥大(DeNA)の49に次ぎリーグ2番目の多さだ。しかし、四球を恐れずに腕を振る。巨人OBで同じ左腕だった野球解説者の川口和久氏は髙橋の投球についてこう評す。「昨年までは肝心なところで変化球をチョイスして打たれるケースがあったが、今年はストレート主体で攻めている。もちろん、ずっと攻めるわけじゃない。攻めながらかわすのが、ピッチングには重要だ。かわす、かわすではなくてね」。荒れ球を長所にして、攻め込む投球が打者の脅威となっているのは間違いない。

 巨人と2位・ヤクルト、3位・阪神の3チームに絞られているセ・リーグの優勝争い。その中でカギを握るは髙橋だ。ヤクルトに3戦2勝、阪神に4戦4勝とライバルに強さを発揮。巨人が3連覇を成し遂げるために背番号47はマウンドで堂々と立ち振る舞う。

【文責:週刊ベースボール】