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【コラム】7試合連続弾に届かなかった広島・鈴木誠也、“王超え”を果たすチャンスはまだある!

 もう一歩で王貞治(巨人)、ランディ・バース(阪神)に並び、右打者では史上初の快挙を達成するところだった。広島の鈴木誠也は9月3日のヤクルト戦(東京ドーム)で20号ソロを放つとその後、アーチを架け続ける。8日の中日戦(マツダスタジアム)まで5試合連続本塁打。1987年ランス、2005年新井貴浩が記録している、球団最多の6試合連続を懸けて臨んだ9日の同カード、いきなり決めた。初回一死で打席に入るとカウント1-1からの3球目、勝野昌慶が投じた外角高めのスライダーを素直に打ち返す。打球は右中間席に飛び込む6試合連続の一発となった。

 第1打席ではなんと5試合連続の本塁打でこれはプロ野球記録。さらに4対4の同点で迎えた4回裏には左翼席へ決勝2ラン。6試合で8本塁打とまさに打ちまくった。しかし、もとより個人記録には興味を示さない鈴木誠。新記録について話を振られても、首を横に振り、「1試合のために皆さんが楽しみに見に来てくれていると思うので、少しでも思い出になってくれるように頑張っていきたい」と、目の前の打席に集中していくことを強調。10日の阪神戦(マツダスタジアム)でスタンドへたたき込むことができず、プロ野球記録の7試合連続本塁打には届かなったが、この姿勢があったからこそ、自然に積み上がった6試合連続弾だったと言えるだろう。

 東京オリンピックでは四番を打ち、悲願の金メダル獲得に貢献。押しも押されもせぬジャパンの四番となった鈴木誠だが、主軸として成長した裏には大先輩の存在があった。それは新井貴浩だ。2015年、阪神から古巣・広島に復帰した新井。15、16年に四番でチームトップの試合出場を果たしたのは新井だったが、17年からは鈴木が大役を任されることになった。だが、当初は結果が出ずに苦しい時期が続く。納得いく打撃ができなくて、打ち取られたあとに悔しさや自分に対する怒りが抑えられない。感情のコントロールができない鈴木誠を、新井はずっと目にしていた。

 そんなとき、新井は年長者として、また四番経験者として、鈴木誠にアドバイス送った。「『みんな、お前を見ている』『自分が思っているよりも、周りに与える影響力は大きい』『負の感情はグッと堪えて我慢していくしかない』ということを伝えました。四番はチーム内で最も影響力の強い選手と言っても過言ではありません。チームの看板であり、顔。そんな選手が自分の負の感情を表立って出せば、ベンチの雰囲気も悪くなってしまう。私自身も四番を任された当初、なかなか打てずに苦しみました。誠也同様、自分に対するいら立ちを抑えることができず、暴れることもあった。ただ、決して見えるところではしませんでした。四番として弱っているところを見せるわけにはいかない。そういう意味で四番は孤独ですが、四番としてどんな立ち居振る舞いをすべきかを、今一度考えてみてほしかったんです」と新井は当時を回想している。

 自らの感情と向き合って、鮮やかな成長曲線を描いて球界屈指の好打者となった鈴木誠。記録への挑戦はまだ訪れる。昨年まで5年連続で打率3割以上、25本塁打以上をマーク。今年は9月13日現在、打率.314、28本塁打だが、このまま打率3割をキープすれば6年連続。王の8年連続、落合博満(ロッテ、中日)の7年連続に次ぐ史上3位となる。真摯に野球に取り組む鈴木誠なら、落合、そして王の記録を抜いて歴代1位に立つ可能性は十分にあるはずだ。

【文責:週刊ベースボール】