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【コラム】夢を叶えて初めて見た頂点の景色、ヤクルト・青木宣親が常に意識していたこと

 どんな状況でも自分の役割に徹する。ヤクルト・青木宣親の集中力は衰えない。優勝マジック2で迎えた10月26日のDeNA戦(横浜)。1対1の3回表、先頭の塩見泰隆が右前打で出塁、続く打者は青木だ。今永昇太が投じた初球、外寄り高めに浮いたカットボールを見逃さずにとらえると、打球はライト前へ。無死一、二塁とチャンスが広がったヤクルト打線は活気づく。一死後から村上宗隆の右前打で満塁とするとサンタナの2点適時二塁打で勝ち越し。さらに一死二、三塁から中村悠平がレフトへ二塁打を放ち、2点を追加して5対1とした。

 4点のリードを必死の継投で守る。先発の高梨裕稔が4回1失点。高津臣吾監督の「最初から継投でいこうと決めていた」との言葉どおり、5回に石山泰稚、田口麗斗、6回からは高橋奎二を投入。8回は絶対的セットアッパーの清水昇、9回はマクガフの勝利の方程式でDeNA打線を抑え切り、5対1で勝利をつかんだ。この時点でマジック1。同時刻に甲子園で試合をしていた阪神が、敗れるか引き分けるかが優勝の条件。オーロラビジョンに映し出される阪神戦を見守るヤクルトナイン。最後の打者、大山悠輔が遊ゴロに倒れるとベンチを飛び出し、歓喜に酔いしれた。

 「ムチャクチャうれしいですね。目の前のことに集中してプレーした結果ですが、優勝が一番欲しかったので本当にうれしいです」と感激の面持ちで語った青木。ヤクルトは2015年以来、6年ぶり8度目の栄冠となったが前回優勝時に青木はサンフランシスコ・ジャイアンツでプレー。ヤクルトの選手としては頂点の景色を知らなかった。「日本でやり残したことはヤクルトで優勝すること」。そう誓って18年にヤクルト復帰を決めた背番号23は見事に夢を叶えた。

 “終身名誉キャプテン”として周囲からの信頼も厚い青木。献身的にチームを支えてきたが、大黒柱として大事にしてきたことがあるという。

 「勝っていても、負けていても、良い雰囲気の中で試合をやれるようにと心掛けていました。選手たちには、クラブハウスにいつもフレッシュな気持ちで来てほしいと、僕は何年も前からずっと言い続けてきたので。勝っても、負けても、新しい気持ちで試合に臨むことを大切にして、一日一日を過ごしてほしいという気持ちがありました」

 メジャー7球団を渡り歩いた青木だが、メジャー・リーガーは喜怒哀楽を前面に押し出してプレーしていたことを感じていた。ヤクルト復帰後、自身もそれを意識。「何て言うか、戦っている姿勢を見せたかったんです」。高津監督の「みんなで盛り上がって、みんなで悔しがるチームをつくりたい」というチーム方針ともマッチした。

 セ・リーグの頂点に立ったが、これからクライマックスシリーズ、日本シリーズと日本一へ負けられない戦いが始まる。

 「なんとしてでも日本一になりたい。でも、今年だけではなくて、来年も優勝したい。やっぱり、ずっとスワローズが強い状態をつくっていくことが大切だと思いますから」

 “ミスター・スワローズ”はますます意気軒高だ。

【文責:週刊ベースボール】