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【コラム】決意がこもった全球ストレート勝負、日本ハムの新人右腕・北山亘基は「今ここに集中する」

 決意がこもった全球ストレート勝負だった。5月24、25日のヤクルト戦(神宮)で二夜連続サヨナラ本塁打を浴びていた日本ハムの北山亘基。3戦目となる26日、4点リードの延長10回裏に再びその名前がコールされた。与えられたリベンジの機会。BIGBOSSこと新庄剛志監督はマウンドに向かう北山に声を掛けた。「これだけのファンのみんなが遅くまで残って見ているから、越えていけ!」。指揮官からの檄に気持ちがたかぶった。「逃げるような投球をしていたら何の成長にもならない」。マウンドで無我夢中に腕を振った。

 二死一、三塁とピンチを迎えたが塩見泰隆に対してもストレートを投げ続ける。フルカウントからの7球目、高めのストレートをライトへ運ばれ1点を失い、打席には前日サヨナラ3ランを打たれていた山崎晃大朗。しかし、北山は臆することなくストレートで立ち向かう。初球の149キロは高めに外れたが、2球目の外角高め149キロでバットを押し込んだ。中飛に打ち取り、三度目の正直でチームに交流戦初勝利をもたらした。

 「たとえボールになろうが一歩も引かずに向かっていく姿勢で投げようというのは強く決めていました。これを生かさないと次がない。さらにいいピッチャーになりたいです」。野球に限らず、トレーニングなどに関する知識が豊富でチームメートからは「教授」と呼ばれる男が、ひと回りたくましくなった。

 今季、京産大からドラフト8位で日本ハムに入団した北山。力強いストレートを武器にオープン戦で5試合、6イニングに投げ、13個の三振を奪った。驚異の奪三振率19.50をマークし、開幕投手に抜てきされた。「まさか……でした。さすがにびっくりしましたし、心が揺さぶられました(苦笑)。でも、BIGBOSSには『楽しんでいけよ』と言っていただいたし、自分には失うものがないので、出せるものを出すだけだと。それまでの自分の出せる力を出そうとした結果を見て、開幕投手に選んでいただいたので、変に背伸びしたりするのはやめようと思いました」。3月25日、ソフトバンク戦(PayPayドーム)。結果は2回無失点だったが、プロ初マウンドを存分に楽しんだという。

 その後はリリーフ起用に。5月30日現在、19試合に投げ、3勝3敗1ホールド、5セーブ、防御率4.12をマークしているが、そのピッチングを支えているのは間違いなく最速156キロを誇るストレートだ。

 「強いボールが投げられているときは、ファウルや空振りを取れる、軸となるボールです。存在は大きいですね。でも、それだけを重視しているわけではなく、マウンドに上がるまでの過程がより大切です。僕は準備を完結させてマウンドに上がることにこだわっています。マウンド上で迷わないために、徹底的に、納得いくまで準備をする。結果、自信を持ってボールを投げ込めるので、そういう気持ちの部分もプラスされて球質やスピン量など数字以上に、打者を押していけるのかなと思っています」

 大事にしているキーワードは「今ここに集中すること」。シーズンは長い。先を考え過ぎずに、日々できることと真剣に向き合う。その繰り返しで、納得いく結果を残してみせる。

【文責:週刊ベースボール】